2007 Fiscal Year Annual Research Report
マスターキータンパク質を介するニューロン保護のノックアウトマウスを用いた証明
Project/Area Number |
19500261
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐藤 拓己 Iwate University, 工学部, 准教授 (10300831)
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Keywords | Keap1 / Nrf2 / 親電子性物質 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
ニューロンには、転写を介した、酸化ストレスに対する防御機構が想定されているが、その「実体」は明らかではない。申請者は、転写因子Nrf2の活性化が、「実体のひとつ」ではないかと考えている(Satoh T etal,PNAS103:768-773、2006)。Nrf2は、活性酸素を消去する酵素(抗酸化酵素)群の誘導に中心的な役割を果たす転写因子であるため、しばしば「マスターキータンパク質」と呼ばれる。マスターキータンパク質Nrf2は、活性酸素に脆弱であるニューロンの生存に必須であると考えられるが、未だ直接証明はない(Satoh T and Lipton SA,Trends in Neurosci,30:37-45[2007])。「転写因子Nrf2を介した抗酸化酵素群の誘導が、ニューロンの酸化ストレスに対する内因性の防御機構の実体である」ことを証明するためには、ノックアウトマウスを用いるのが最も直接的である。本研究はこのコンセプトに従って、マスターキータンパク質Nrf2の結合タンパク質Keap1のノックアウトマウスを用いて、マスターキータンパク質Nr2がニューロンの生存の維持に必須であることを証明した。具体的な実験結果は以下のようなものである。論文は既にJ Neurosci Resに投稿した(平成20年4月) 1) Keap1はニューロンにおいて有意な発現が認められた。 2) Keap1ノックアウトマウスにおいてNrf2の恒常的な核内移行が認められた。 3) Keap1ノックアウトマウスにおいて抗酸化酵素群の発現増加が認められた。 4) Keap1ノックアウトマウスのニューロンは酸化ストレスに対して耐性を獲得した。 以上の実験結果は、Keap1が脳保護剤の分子ターゲットになることを示唆する。
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