2008 Fiscal Year Annual Research Report
マスターキータンパク質を介するニューロン保護のノックアウトマウスを用いた証明
Project/Area Number |
19500261
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐藤 拓己 Iwate University, 工学部, 准教授 (10300831)
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Keywords | Keap1 / Nrf2 / 親電子性物質 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
Keap1/Nrf2システムはニューロンにおいて、酸化ストレスに反応して、抗酸化酵素群を誘導する。この防御機構は、酸化ストレス条件下では、ニューロンの生存を決めると申請者は仮説を立てた。この仮説を、Keap1のノックアウトマスを用いて直接証明した。通常Keap1はNrf2と結合して、Nrf2の核内移行を抑制しているので、Keap1ノックアウトマウスではNrf2の恒常的な活性化が起こると予想された。 本研究期間中に、Keap1ノックアウトマウス由来の大脳皮質ニューロンにおいて以下のような性質を確認した。 1) Keap1はニューロンの発現していた。 2) Nrf2は恒常的に核内移行していた。 3) Phase2酵素群は恒常的に発現していた。 4) 酸化ストレスに対して耐性が増加していた。 これらの結果はKeap1ノックアウトマウスの大脳皮質ニューロンにおいてKeap1/Nrf2システムが恒常的に活性化するため、酸化ストレスに対して耐性を獲得することを示唆している。すなわちKeap1を親電子性物質のニューロン保護作用はこの経路を介していると考えられ、Keap1は脳保護剤のターゲットとしての性質を持つことを証明した(Satoh T, et.al.,. BBRC 380:298-302, 2009)。 またNrf2遺伝子をノックアウトマウスを用いて、親電子性物質のニューロン保護作用がNrf2を介していることを直接証明することを試みた。しかしNrf2ノックアウトマウス由来の大脳皮質ニューロンは親電子性物質に対して非常に脆弱であるための、少なくともカルノシン酸やNEPP11を用いて実験を行うことは不可能だった。
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