2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19500262
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松坂 義哉 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (30312557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋 啓節 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (60124583)
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Keywords | 内側前頭前野 / ニューロン / 競合解決 / サル / LFP |
Research Abstract |
前年度の研究で前頭前野の後内側部(ブロードマンの8B野)において上肢の運動に関連した領域が状況依存的に出現・消滅することを発見した。既にある上肢領域のニューロン活動が課題条件によって変わる現象はこれまでにも報告されているが、上肢領域自体が動的に構築・消去される現象はこれまでに報告された例がなく、大脳皮質機能地図の動態を考える上で重要な所見と考え、更に詳細な解析を行った。まず、競合解決課題を遂行中のサルの本領野には運動に関連して活動するニューロンが多数存在することが明らかになった。ところが、課題から競合の要素を取り除いた条件で同じ運動をさせた場合には本領野からは運動に関連した細胞活動が消失することが分かった。更に、常に競合が発生する条件下で同じ運動課題をサルにさせた場合にも同様に運動関連ニューロンが消失した。このことから、本領野は競合の存在それ自体ではなく、競合が発生するかしないか予測不可能な状況下での運動行動の制御に関わっていると考えられる。なお、霊長類の8B野については大脳の高次運動領野との密な線維連絡がありながら、その行動制御における役割は従来知られていなかった。この領野の機能を明らかにしたのは、我々の研究成果が世界初である。 又、本課題遂行中の8B野, pre-SMA, SMAのニューロン活動を同時に記録し、領野間の信号のやり取りを解析したところ、本課題遂行時には8B野とSMAとの間にLFPの相関があり、しかもその相関の因果関係はLFPの周波数帯域によって異なることを見出した。以上は計画書中の"多チャンネル信号記録及び多数の神経領域における神経活動の経時的解析"に従って実施したものである。
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