2008 Fiscal Year Annual Research Report
胎児性自発興奮波から成体呼吸中枢リズム活動へのスイッチング機構
Project/Area Number |
19500268
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 容子 Kanto Gakuin University, 人間環境学部, 教授 (70251501)
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Keywords | depolarization wave / 光学計測 / 膜電位感受性色素 / 鶏胚 / gap junction / 脳幹 / 中枢神経系 / 神経回路網 |
Research Abstract |
生命の維持に不可欠な中枢神経系の活動は、感覚性入力に加えて、神経細胞の自発興奮活動によって支えられている。この自発活動は、個体発生の非常に早い時期、すでに延髄、脊髄などで観察されることが知られている。従来、これらは、成体での呼吸リズム、歩行リズムなどに対応するembryonic prototypeであると考えられてきた。我々は、広範囲伝播脱分極波(depolarization wave)の研究の過程で、従来、延髄・脊髄などで別個の現象として解析が行われていた自発興奮活動が、実はひと続きの同一現象であり、しかも腰・仙髄の末端から大脳の一部にまでおよぶ、大興奮波のごく一部分を見ているのにすぎないということに気がついた。広範囲伝播波は成体ではみられず、このことから、脱分極波は発生のある一時期に一過性に出現し次第に消失していくものと考えられる。我々は一つの仮説として、“脱分極波の活動パターンが、呼吸中枢など成体でみられる自発性リズム活動の発現をコントロールしているのではないか"と考えた。本年度の研究では、鶏胚中枢神経系を対象として、自発性脱分極波の発現し始めるH-Hstage24以降の各発生段階について、脱分極波のoriginとnetwork mechanismについて解析を行った。脱分極波のoriginは、stage24ではobex~上部頸髄にあり、発生とともに起源の数と位置が多様化していくことが明らかとなった。脱分極波は、stage35以降延髄領域では著明に減弱し、脱分極波の消失と入れ替わりに呼吸中枢の自発的リズム活動が発現してくるものと考えられる。
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