2007 Fiscal Year Annual Research Report
嗅粘膜由来幹細胞とその嗅神経グリア分化誘導および脊髄損傷治療モデルの確立
Project/Area Number |
19500275
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 悦子 Keio University, 医学部, 助教 (60244589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 有未 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (50338183)
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Keywords | 嗅神経幹細胞 / OEC / 神経堤 |
Research Abstract |
脊髄損傷の治療のための細胞ソースとして、嗅神経グリア(OEC)が近年注目されている。我々は、嗅粘膜から培養可能な嗅神経幹細胞をneurosphereとして樹立することに成功し、また、そこからOEC様の細胞が分化してくることを見出し、これを移植のための細胞源とすることを検討した。まず嗅神経幹細胞のマーカーとなる分子を探索したところ、Snai1,Snai2,Sox9,Sox10,Pax3などの神経堤マーカーと一致することが明らかとなった。このことは、我々が樹立したneurosphereの分化のパターンが、TuJ1+の神経細胞、GEA:P+のグリア、α-SMA+の平滑筋であり、神経堤幹細胞の分化パターンをとることと矛盾しない。一方、OECは神経堤由来ではなくプラコードから派生するとされてきたが、我々の嗅神経幹細胞からOEC様の性質をもつ細胞も分化してくることから、得られたOEC様細胞が生体内のOECと一致するものかどうかを確認した。まずOECがプラコード由来であるという従来の知見を疑い、神経堤マーカーの一つであるWnt1を発現した細胞が恒久的にEGFPを発現するようになるWnt1-cre/floxed-EGFP mouseを用いて、OECの由来を確認した。すると、嗅粘膜のlamina propriaから嗅球までに観察されるOECがEGFP+であり、予測通り神経堤由来であることが明らかとなった。さらに、得られたneurosphereの分化能についてclonalassayを用いて検討したところ、上記三種へ分化するのは、およそ27%程度で、神経とグリアへの分化が10%、グリアのみが14%、平滑筋が14%であった。また、神経と平滑筋、あるいは神経のみへの分化能を示すものは見られなかった。これらのことから、我々の得たneurosphereはグリアへの分化傾向が強いことがわかった。
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