2007 Fiscal Year Annual Research Report
胚性幹細胞から分化誘導した網膜神経節細胞の移植による緑内障の治療
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19500280
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
黒川 真奈絵 St.Marianna University School of Medicine, 医学部, 講師 (90301598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 登 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (40235982)
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Keywords | 緑内障治療 / 網膜神経節細胞 / ES細胞 |
Research Abstract |
初年度はマウスES細胞からの網膜神経節細胞の分化誘導を行った。 マウスES細胞に眼発生に必須の遺伝子であるpax6遺伝子とGFP遺伝子を導入し、この細胞集団が神経幹細胞のマーカーであるnestinを発現した段階で限界希釈法を行った。クローン化細胞よりRT-PCRにてnestinおよびMusashi-1を発現したものを選択培養したところ、アルカリフォスファターゼ陰性の双極性細胞を認め知覚神経が誘導されたことが示唆された。また片側に長い軸索を伸長しもう一方に多数の樹状突起を示すRGC特有の形態を示す細胞も認めた。 これらの細胞はRT-PCRおよび免疫染色の結果pax6、神経特異分子であるβIII tubulin、neurofilament(NF)M、RGCに認められるBrn3a、Brn3b、Islet1、Thy1、メラノプシンを発現していた。また網膜神経細胞の初期誘導に関わるmath5や、otx2、emx1、emx2、six3、shh等前脳を含む中枢神経の分化に関わる分子の発現も認めた。中脳に発現するEn1、En2や、運動ニューロンに発現するLim1、HB9の発規は認めなかった。 このRGC様細胞を血流の豊富なマウス腎被膜下に移植したところ、2週間後の免疫染色にてGFP陽性のRGC様細胞が腎被膜下に生着しており、βIII tubulin、NFMおよびBrn3a、Brn3bを発現しRGCの性質を保持していることが示された。電子顕微鏡にてこのRGC様細胞に神経細胞に特異的な微細管構造や神経線維を認め、神経細胞への分化が確認された。 この細胞が興奮性細胞としての特性を有しているかをCa imaging法にて検討した。RGC様細胞はL-type、N-type、P/Q-type、T-typeのCaチャネルのサブユニットを発現しており、広い範囲のCaチャネルサブタイプを発現するRGCの特徴を反映した。共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察にて、KCI刺激により細胞外からのCa2+を取り込みが見られ、阻害剤として鉛やニフェジピンを添加した場合この取り込みの抑制が認められた。 以上より形態、発現分子、機能の各面においてRGCの特徴を満たした細胞を誘導できたことから、次年度以降はこれを視神経損傷マウスモデルへの移植治療へと応用する。
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Research Products
(17 results)