2009 Fiscal Year Annual Research Report
胚性幹細胞から分化誘導した網膜神経節細胞の移植による緑内障の治療
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19500280
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
黒川 真奈絵 St.Marianna University School of Medicine, 医学部, 講師 (90301598)
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Keywords | 緑内障治療 / 網膜神経節細胞 / ES細胞 |
Research Abstract |
平成21年度は、移植後の胚性幹細胞由来網膜神経節前駆細胞の分化について組織学的検討を行った。視神経損傷マウスの網膜下に、胚性幹細胞にpax6遺伝子を導入し誘導した網膜神経節前駆細胞を注入したところ、導入したGFPの発現にて移植細胞が生着したことが観察されたため、その細胞の挙動と分化を観察した。 移植後1か月の網膜組織において、網膜のほぼ全層にGFP陽性細胞を認めた。網膜神経節細胞のマーカーBrn3、神経細胞のマーカーNFM、双極細胞のマーカーPKC、および光受容体のマーカーopsinに対し免疫組織染色を行った。GFP陽性細胞は、網膜神経節細胞層においてBrn3およびNFMと、双極細胞層においてPKCと、光受容体層においてopsinとの2重陽性を示した。移植した網膜神経節前駆細胞は、網膜の各細胞層に移動し各々の層を構成する細胞に分化して、視神経損傷により一部変性した網膜組織構造を再構成し機能していると考えた。 眼球後の視神経軸索組織において、NFM、末梢神経のマーカーMBP、およびグリア細胞のマーカーGFAPに対し、免疫染色を行った。視神経損傷マウスでは、観察した視神経軸索全長においてNFMとMBPの発現が、損傷部においてGFAPの発現が低下したのに対し、移植マウスでは、軸索全長におけるNFM、損傷部におけるGFAP、損傷部より中枢側のMBPの発現が回復した。移植マウスにて網膜神経節細胞が分化し、その軸索である視神経の変性が抑制された。 網膜側より蛍光色素を標識したコレラ毒素を取り込ませたところ、視神経損傷マウスではその輸送が損傷部で途絶していたのに対し、移植マウスでは視神経軸索での検出のみならず、対側の中脳上丘および外側膝状体への投射が確認された。移植細胞から分化した網膜神経節細胞の軸索伸長により、視神経の順行性軸索輸送が回復されたと考えた。
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Research Products
(32 results)