2007 Fiscal Year Annual Research Report
成獣終脳皮質に存在する前駆細胞の分化とその分子機構の解析
Project/Area Number |
19500281
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
森 徹自 Kansai Medical University, 医学部, 講師 (30285043)
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Keywords | 解剖学 / 神経科学 / 脳・神経 / 発生・分化 |
Research Abstract |
終脳反質に存在する前駆細胞は、圧倒的にNG2(コンドロイチン硫酸プロテオグリカンのひとつ)陽性の細胞であることが知られている。一般に、NG2陽性前駆細胞はオリゴデンドロサイト前駆細胞であると考えられている。近年、通常状態ではニューロン新生が起きないとされている成獣終脳皮質においても、少数のニューロン新生が起きる可能性が示唆されており、少なくともNG2陽性細胞は、in vitroでニューロンに分化しうる可能性がある事が示されている。本研究では、成獣終脳皮質に存在する前駆細胞詳細に対して、ウイルスベクターを用いてGFP標識することで、その子孫細胞の分類を行うことを目的とする。まず、その前段階として、成獣終脳皮質に存在する前駆細胞の分類から行った。文献上、NG2陽性細胞以外にも、正常状態で分裂増殖している前駆細胞の存在が示唆されていたが、その存在の可能性や、数に関しては不明な点が多く残されていた。BrdU(核酸類似体であり、染色体複製時に細胞に取り込まれる)投与による分裂細胞標識実験、および分裂増殖細胞のマーカーであるKi67による免疫組織化学的手法によって、正常な成獣終脳皮質に存在する分裂増殖細胞は、NG2陽性細胞のほかには、血管内皮細胞であり、NG2陰性の前駆細胞は存在しないことが明確に示された。このことは、成獣終脳皮質内の前駆細胞を系統立てて分類した最初の成果であり、成獣終脳皮質における前駆細胞を研究する際には、NG2陽性細胞以外を考慮する必要が無いことを示した重要な研究成果である。当該分野における他の研究者にとっても大きな意味を持つ成果であるといえる。
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Research Products
(3 results)