2008 Fiscal Year Annual Research Report
成獣終脳皮質に存在する前駆細胞の分化とその分子機構の解析
Project/Area Number |
19500281
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
森 徹自 Kansai Medical University, 医学部, 講師 (30285043)
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Keywords | 細胞分化 / 神経前駆細胞 / ウイルスベクター / 成獣脳 |
Research Abstract |
分裂細胞特異的に取り込まれるBrdUによる標識実験と、その後の組織学的解析から、正常な齧歯類の終脳皮質において、分裂・増殖している細胞のうち、約95%はNG2陽性細胞であり、その他はごく少数のアストロサイト、ミクログリア、血管内皮細胞、周皮細胞であることがわかった。従来、NG2陽性細胞はオリゴデンドロサイト前駆細胞であると考えられてきた。しかし正常な成獣終脳皮質では、NG2陽性細胞が分裂した後に、オリゴデンドロサイトの系統に分化するものはごく少数で、圧倒的多数がNG2陽性、つまり未分化な前駆細胞の状態で存在することが分かった。さらに、少なくとも正常状態で、BrdU 1週間投与ラットにおいては、成熟ニューロンのマーカーを発現する細胞に分化した細胞は観察されなかったことから、ニューロン分化には、より長い時間が必要である可能性が示唆された。NG2陽性細胞は、外界からの様々な刺激に反応して分裂増殖を開始するという性質を持っている。ニューロンの過剰興奮を誘発する実験系として広く用いられるspreading depression実験系においても、大多数が未分化なNG2陽性細胞のままであることが分かった。さらに、通常とは異なる刺激を受け取った後でも、NG2陽性細胞の細胞周期の長さは、正常状態と変わらず、非常に長い細胞周期で分裂を行うことがわかった。これらの実験から、NG2陽性細胞の中には、分裂能を持つ(あるいは高い分裂能を持つ)集団と、分裂能を持たない(あるいは低い分裂能をもつ)集団の2種類が存在することが示唆された。本年度はさらに、分裂増殖をするNG2陽性細胞に対して、ウイルスベクターを用いることで、in vivoにおいてGFP標識を行う実験を行った。
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Research Products
(5 results)