2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュの匂い応答行動を制御する神経回路形成機構の解明
Project/Area Number |
19500286
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小出 哲也 The Institute of Physical and Chemical Research, シナプス分子機構研究チーム, 研究員 (30247837)
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Keywords | 神経回路 / 行動 / 嗅覚神経系 |
Research Abstract |
生物は外界の「匂い」情報に応答して行動する。すなわち、索餌行動、交配相手・親子供の認識、回避行動等これらに必要な情報は主として嗅覚神経系で処理される。匂い物質という「入力」が鼻腔の嗅上皮で受容された後、嗅球そして嗅皮質へと伝わり、匂いの認識・識別が行われ、嗅覚応答行動として「出力」される。この嗅上皮や一次嗅覚中枢である嗅球での匂い受容の分子機構は、徐々に明らかにされてきたが、嗅球-嗅皮質での情報処理からその後の嗅覚応答行動がどのような分子機構によって成立するのか不明である。この「嗅覚情報処理機構と嗅覚応答行動」を理解するためには、情報処理を担う嗅覚系神経回路を明らかにするとともに、嗅覚応答行動がどの神経回路に依存しているかを解析していく必要がある。そこで本研究では哺乳動物に比べ単純な嗅覚神経系を持つ脊椎動物ゼブラフィッシュを用い、研究期間内に嗅覚応答行動の神経回路解明の基盤となる実験系を確立し、匂い刺激応答行動に対応する神経回路の同定・解析を行う。研究実施期間において、GAL4-UASシステムを用いた遺伝子トラップ法により少数の嗅細胞にGAL4を発現する系統(GAL4遺伝子トラップ系統)を樹立した。それらの系統とUAS-GFP系統との掛け合わせにより、特定の嗅細胞から嗅球へと至る新たな投射様式を発見した。さらに、GAL4発現細胞特異的に神経活動を抑制した魚(GAL4ジーントラップ系統とUAS-TeTxLC系統を交配させた魚)を用いて、嗅覚応答行動解析を行なった結果、微絨毛細胞にGAL4を発現する系統ではアミノ酸への応答行動が無くなることを発見した。この結果から、微絨毛細胞はアミノ酸への応答行動に必須であることが分かった。
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