2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19500290
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
内藤 栄一 Advanced Telecommunications Research Institute International, 脳情報研究所, 主任研究員 (10283293)
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Keywords | 視覚野 / 体性感覚野 / 運動感覚 / 身体像 / 核磁気共鳴装置 |
Research Abstract |
ヒトは自分の身体筋骨格系に由来する感覚情報や身体に関連する視覚情報を階層的に統合・処理することによって自らの身体像を脳内に形成する。身体筋骨格系に由来する感覚情報の内、特に四肢運動感覚情報は身体運動の知覚において重要である。これまでに、健常者の脳が自己の四肢運動情報をどのように処理し、知覚するかに関して、四肢の腱への振動刺激によりその四肢の運動感覚(錯覚)を惹起しながら、機能的核磁気共鳴装置で脳活動を測定することにより調査した。閉眼健常者が自己の四肢運動(運動錯覚)を経験すると、その四肢に対応した運動関連領野および四肢の相違に無関係な右半球前順-頭頂葉領域が関与することが明らかになった(Naito, et. al. 2007)。この運動錯覚では、被験者は四肢の運動を体験してはいるが、実際には四肢の動きは伴わない。この利点を活かして、健常者の脳が、動いていない四肢(手)の視覚情報とその運動感覚とをどう統合するかについて調査した。健常者が動いていない手をライブで見ながら、その手の運動錯覚を同時に経験すると、視覚情報は有意に運動感覚を減弱した。これは、視覚情報の運動感覚情報に対する優位性を示しているが、この視覚優位を計算する脳領域が後部頭頂葉であることがわかった。つまり、視覚の運動感覚に対する優位性が高い被験者ほど、後部頭頂葉領域の活動レベルが高くなり、反対に運動領野手領域の活動は減弱していることがわかった(Hagura, et. al. 2007)。このように、視覚システムと体性感覚システムとは相互関係をもちながら、ヒトの脳内で自己の身体像が形成されていることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)