2008 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚皮質ベルト領域のコミュニケーション音による差別化
Project/Area Number |
19500291
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小島 久幸 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00104539)
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Keywords | 聴覚皮質 / コミュニケーション音 / c-fos発現 / 領域差別化 / 鳴き声 / モルモット |
Research Abstract |
2年計画の本研究申請では、種特異的な鳴き声、自然界には存在しない単一周波数からなる純音、また周波数特性の乏しいノイズを刺激音として利用できるようにデジタル化することを1年目の目的として達成した。これら刺激音に対する極初期遺伝子 (c-fos) の発現を引き起こす刺激条件の設定、および発現神経細胞数ないし発現細胞の分布パターンに着目し聴覚皮質内の異なる領野を差別化することが2年目の目標である。免疫染色条件の設定においては、モルモット脳でのc-fos研究は著しく限られていて、ノイズ対シグナル比の良い抗体を決定することをまず行った。当初予定していたラットで染色性の良好なc-fos抗体 (Ab-5) では特異的な発現を標識することが出来ず、別のラットに対する抗体 (K-25, H-125) の交叉反応を用いることで可能となった。続いて刺激条件を決定した。痛覚やストレス刺激継続時間は通常1時間ほどでノイズ対シグナル比の良い標識がラット脳では可能 (共同研究者の論文) であったが、音刺激を用いたモルモット脳ではノイズ対シグナル比が小さく、異なる皮質領域を差別化するには不十分であることが判明した。その後刺激時間を徐々に延長し比較したところ、2時間で良好なノイズ対シグナル比を示す染色が可能となった。またc-fos発現は体性感覚野ではほぼ全く見られず、音刺激に対する反応の特異性を示唆した。その結果、この条件で染色パターンに領域間の差異が部分的に見いだされた。即ち聴覚皮質の腹側部にある連合野 (腹側ベルト領野) では鳴き声に対して発現細胞が密集したが、純音ではあまり細胞の密集は認められなかった。統計的な検定に耐える標本数を収集しつつある。またデジタル化した鳴き声を用いて同時進行中の生理学的細胞反応の記録を得たので、学会発表、招待講演を行った。一部は総説を発表した。
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