2007 Fiscal Year Annual Research Report
カハールレチウス細胞の細胞移動の分子機構と大脳皮質形成における意義
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19500296
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉田 道生 Kumamoto University, 発生医学研究センター, 助教 (80305002)
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Keywords | 大脳皮質 / カハールレチウス細胞 / 細胞移動 / Emx1 / Emx2 |
Research Abstract |
本研究は、カハールレチウス(CR)細胞の細胞移動の分子機構を解析すると共に、CR細胞の大脳皮質形成における意義について検討する事を目的とする。本年度は以下の点について検討を行なった。 1、CR細胞の細胞移動について詳細に観察するため、EGFPを発現するプラスミドベクターをin uteroエレクトロポレーション法により終脳神経上皮細胞に導入、その終脳から作製した組織スライスを培養し、組織スライス中のCR細胞の移動をタイムラップス観察する実験系の確立を試みた。エレクトロポレーション法によりプラスミドベクターをCR細胞の発生源であるコーティカルヘム領域、皮質/皮質下境界(PSB)領域に導入する事が可能となり、今後、スライス培養法の諸条件について検討する予定である。 2、CR細胞の細胞移動に関与する既知遺伝子の解析については、まず、PSB領域より生じるCR細胞サプタイプの発生・細胞移動様式の詳細を明らかにするため、これら細胞での発現が報告されている転写因子Dbx1およびEbf2の発現をin situ hybridization法により検討した。 3、転写因子Emx1、Emx2の二重変異マウスの大脳皮質ではコーティカルヘム領域の欠失により、そこから生じるCR細胞の主要サブタイプが消失するが、in situ hybridizationによる解析からReelin及びCXCR4陽性のCR細胞が少数ながら依然として存在する事がわかった。この変異マウスでのDbx1、Ebf2の発現には異常は認められず、これら細胞はPSB領域もしくは中隔領域に由来するCR細胞サブタイプであると推測された。この事から、Emx1/2二重変異マウスにおける大脳皮質の異常を解析する事により、大脳皮質形成におけるこれらCR細胞サブタイプ特異的な役割について検討できると考えられ、現在、変異マウス大脳皮質における層構造の異常について解析を行なっている。
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