2008 Fiscal Year Annual Research Report
カハールレチウス細胞の細胞移動の分子機構と大脳皮質形成における意義
Project/Area Number |
19500296
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉田 道生 Kumamoto University, 発生医学研究センター, 助教 (80305002)
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Keywords | 大脳皮質 / カハールレチウス細胞 / 細胞移動 / Emx1 / Emx2 |
Research Abstract |
カハールレチウス(CR)細胞の細胞移動の分子機構を解析すると共に、CR細胞の大脳皮質形成における意義について検討する事を目的とし、以下の項目について検討を行った。 1、CR細胞の細胞移動をin vitroで詳細に観察するための実験系の確立について 今年度は大脳組織スライスの培養法とin vitroタイムラプス観察システムの検討を行った。更に、電気穿孔法により低密度で細胞を標識する方法を検討した。それにより、通常法では困難であった、移動中の個々のCR細胞の形態変化を観察する事が可能になると考えられる。これら方法を組み合わせる事で移動中のCR細胞を詳細に観察する事が出来ると考えられ、今後の分子機構の解析に大きく寄与すると考えられる。 2、CR細胞の大脳皮質形成における意義についての解析 昨年度の解析からEmx1/2二重変異マウスではCR細胞の特異的サブタイプに異常力現られる事が示唆され,この事からこれら特異的サブタイプの大脳皮質形成における役割を明らかにするため、Emx1/2を欠損した大脳皮質を解析したところ以下の結果が得られた。 (1)Emx1/2欠損大脳皮質では第6層特異的な細胞分化に異常が認められた。 (2)第4/5層についてはinside-outパターンは保持されていたものの、4/5層の境界が著しく乱れていた。 (3)2/3層の皮質板神経細胞の細胞移動に異常が認められた。 皮質形成におけるEmx1,Emx2の機能の全貌は未だ明らかにはなっておらず,当然,上記結果がEmx1,Emx2の皮質板神経細胞あるいは神経幹細胞での自律的機能の異常による可能性は残る。しかしながら同時に,Emx1/2変異大脳皮質で異常の認められるCR細胞特異的サブタイプが上記異常に関与する可能性も示唆しており,今後の皮質形成でのCR細胞各サブタイプの意義を明確化する研究に手がかりを与えると期待される。
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