2007 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロン/グリア運命決定分子PRP19遺伝子の選択的スプライシング機構の解明
Project/Area Number |
19500299
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田代 文夫 Tokyo University of Science, 基礎工学部, 教授 (70089332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 靖 東京理科大学, 基礎工学部, 助教 (60385549)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 発生・分化 / mRNAスプライシング |
Research Abstract |
本研究ではmRNAのスプライシングやDNAの修復に関わるPRP19αとそのスプライシングバリアントPRP19βによる、ニューロン・グリア分化のスイッチングに関わる分子メカニズムの解析を行なった。以下に本年度の研究成果の概要を報告する。 1.PRP19αおよびβ(α/β)によるニューロン・グリア分化に関わる因子を同定するために、PRP19α結合因子をyeast two-hybrid法により解析し、RNA結合ドメインを有する機能未知のタンパク質KIAA0907を同定した。KIAA0907のRNA結合配列を調べた結果、UCAYおよびAC繰り返し配列に結合することが明らかとなり、このコンセンサス配列を有する未分化維持遺伝子oct-3/4のmRNAの安定化あるいは翻訳調節を介して、PRP19αは神経分化誘導を行なっていることを明らかにした。 2.PRP19βによるアストロサイト分化誘導メカニズムを解析するために、PRP19βを過剰発現させたマウス胚性腫瘍P19細胞をレチノイン酸(RA)により神経分化誘導し、経時的な遺伝子発現の変化を解析した。その結果、PRP19βと同様にRA処理1日後に一過的に発現が上昇し、マウスの脳発生過程で発現が変動することが報告されている転写因子Prebおよび栄養因子IGF2を同定した。PrebおよびIGF2遺伝子の発現を抑制したP19細胞では、RAによる神経分化誘導によりアストロサイト分化の抑制および生存細胞数の減少がそれぞれ検出された。PRP19βはPrebやIGF2の発現調節を介してアストロサイト分化およびその生存維持に働いていることが分かった。 これらのことから、PRP19α/βの発現変化によりそれぞれ異なった遺伝子の発現および翻訳調節を介してニューロン・グリア分化のスイッチングを行なっていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)