2007 Fiscal Year Annual Research Report
作業記憶神経回路におけるドーパミン作動性入力の分布とシナプス形態
Project/Area Number |
19500300
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
黒田 優 Toho University, 医学部, 教授 (10170135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 哲子 東邦大学, 医学部, 講師 (90224237)
横藤田 純子 東邦大学, 医学部, 助教 (80114792)
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Keywords | 前頭前野 / 視床背内側核 / 電子顕微鏡 / シナプス / ドーパミン受容体 / 興奮性ニューロン / 抑制性ニューロン |
Research Abstract |
高次脳機能に関わるラット前頭前野におけるドーパミン作動性システムの一端を明らかにするため、特異抗体を用いた免疫染色法によってドーパミン受容体D1-familyに属するD1およびD5受容体の分布を光学および電子顕微鏡で検索した。 前頭前野の辺縁前野(PL)のD1-family受容体は、特に記憶との関連が深いとされている。PLでのD1受容体は、I/II層の浅層とVb/VI層の深層に陽性の帯を認めた。これらの陽性構造物はニューロピルが一様に染まったもので陽性細胞は確認できなかった。中間層では、深層に起始する弱陽性の太い頂上樹状突起が観察された。PLのように浅層の陽性帯を示す皮質は少なく、内側辺縁皮質では前帯状回と後部帯状回の膨大後野無顆粒皮質(RSA)に同様の染色性を認めた。膨大後野顆粒皮質(RSG)では全層でD1受容体は極めて少なかった。PLでのD5受容体は、浅層がやや濃く染まるが、ほぼ全層が一様な染色性を示した。薄く染まったニューロピルの中に陽性細胞体が全層に分布していた。特に、III層の陽性細胞からは多くの頂上樹状突起が染め出された。III層でのD5陽性樹状突起はD1のそれと比べて細いがより濃く染まった。I層ではII層とIII層由来の樹状突起が分枝して陽性ニューロピルを形成していた。内側辺縁皮質を除く大脳皮質の多くではV層の錐体細胞とその頂上樹状突起に強陽性を認めたが、PLでは他の層と比べて同程度か逆にやや弱く染まった。内側辺縁皮質でPLと似た陽性パターンを示したのは前帯状回とRSAであった。RSGでは浅層が強陽性でIII層が陰性、IV層より深層は弱陽性を示し、他とは全く異なる陽性パターンを示した。 以上の結果は、PLにおいてD1とD5受容体の分布パターンが異なること、さらに、内側辺縁皮質のD1-family受容体システムが少なくとも2つのパターン、即ち、PLと類似するものとそうでないものが存在することを示している。
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Research Products
(1 results)