2009 Fiscal Year Annual Research Report
作業記憶神経回路におけるドーパミン作動性入力の分布とシナプス形態
Project/Area Number |
19500300
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
黒田 優 Toho University, 医学部, 教授 (10170135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 哲子 東邦大学, 医学部, 講師 (90224237)
横藤田 純 東邦大学, 医学部, 助教 (80114792)
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Keywords | 前頭前野 / 視床脊内側核 / ドーパミン受容体 / 電子顕微鏡 / シナプス / 抑制性ニューロン / 興奮性ニューロン |
Research Abstract |
平成20年度までの研究から、神経終末の多くはD5受容体を含まないことが強く示唆されたが、昨年度はそれを検証するために、SynaptophysinとD5受容体に対する特異抗体を用いた蛍光2重免疫染色を施し、共焦点顕微鏡で観察を行った。Synaptophysinは、シナプス小胞膜に存在する糖タンパク質で、シナプス前終末のマーカーとして広く用いられている。観察の結果、I層からVI層までのすべての層でほとんどすべてのSynaptophysin陽性構造物、即ち、シナプス前終末はD5受容体を含んでいないことが判明した。さらに、Synaptophysin陽性終末は、ニューロピルで多数観察されるD5受容体陽性のスパインあるいはタフトとしばしば接触していた。これらの所見は、ラットの内側前頭前野におけるD5受容体を介するドーパミン作動性調節はシナプスの受け手側で働き、シナプス前終末側では行われないことを示唆している。電気生理学的研究では、D1型受容体(D5とD1受容体)は、錐体細胞のスパインにおける長期増強の形成やPV含有細胞の発火とそれによる錐体細胞の抑制を引き起こすことが報告されている。ラット大脳皮質におけるD1受容体はわずかしか存在しないため、これらの作用は主にD5受容体を介していると考えられる。本研究では、D5受容体は後シナプス部位に存在し、錐体細胞ではスパインを含む樹状突起に、PV含有細胞では活動電位の発生場所に近い細胞体周辺に分布していることを明らかにした。このD5受容体の局在分布パターンは、内側前頭前野が機能の座とされる作業記憶などの高次脳機能に関するドーパミン作動性修飾の基盤をなしていることを示している。
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Research Products
(3 results)