2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子イメージング法を用いたアルツハイマー病の治療薬の開発と評価
Project/Area Number |
19500307
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古川 勝敏 東北大学, 病院, 准教授 (30241631)
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Keywords | アルツハイマー病 / PET / アミロイド |
Research Abstract |
認知症診療におけるアミロイドイメージングの重要な役割は、記銘力障害のみを有するMCIから、将来アルツハイマー病(AD)に進行するか否かを正確に予測することである。^<11>C-BF227はAβ線維に富んだ老人斑に結合しやすいことから、ADに特徴的な脳病変を高い特異度でもって検出することが期待できる。今回の研究では^<11>C-BF227 PETを健常者、軽度認知機能障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)、AD患者で実施した結果、AD患者は90%以上の症例で大脳皮質における^<11>C-BF227高集積を示し、またMCIは高集積を示す症例(約60%)と低集積の症例(約40%)に二分された。 MCIからADへの進行例の多くはBF227高集積を示し、非進行例と明瞭に区別することができた。大脳皮質における平均SUVR値のカットオフ値を1.11に設定した場合、MCI進行例の100%、MCI非進行例の29%が陽性と判定され、感度100%、特異度71.4%で進行例と非進行例の鑑別が可能であった。このような鑑別精度は、FDG-PETやMRIのそれを大きく上回っていた。 MCIからADへのコンバージョンの予測についてはすべての検査(バイオマーカー)の中でBF227のSUVR値が最も優れていた。BF227-PETはFDG-PETよりもアルツハイマー病の診断において、感度、特異度とも高かった。BF227のSUVR値はバイオマーカーの中で脳脊髄液中のAβ1-42値と最も強い逆相関を認めた、またBF227のSUVR値は脳脊髄液中tauと弱い正相関を認めた。 ADの候補治療薬を約30種類検索したところ、漢方生薬であるボタンピにAβの凝集抑制作用があることが明らかになった。ボタンピを投与したAD患者においてはBF227の集積抑制効果が認められた。
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