Research Abstract |
本年は,インディアナ大学Bernardino Ghetti教授の所有する,フ.リオン遺伝子蛋白(PrP)コドンA117V変異に伴うゲルストマン-ストロイスラー症候群の臨床神経病理所見についての検討を継続している段階である.この変異は,現在まで7家系が報告されている。本家系の6症例に関して臨床・神経病理所見を(1例は無症候性キャリア),生存中の1例に関しては臨床所見を,インディアナ大学まで出張し検討した結果をまとめている段階である.現在まで明らかになった点は,平均発症年齢は41±6歳死亡年齢は45±7歳.1例を除き全例が構音障害で発症し,その後認知障害,小脳失調,錐体外路徴候などを呈していた.神経病理学的に,PrP陽性のプラークを大脳皮質,小脳皮質,海馬,扁桃,大脳基底核に認めた.これらのプラークは,多数のアミロイドコアを有した.これらの所見は,過去に報告されているGSSA117Vにほぼ一致する所見であった.しかし,大脳皮質の一部,海馬ではアミロイドコアを欠き,円形で辺縁明瞭な,家族性ADにみられるcotton wool plaques(CWPs)に類似したプラークも認めた.これらのプリオンプラークは,一部のGSSで報告されているようなAβ免疫染色陽性を示さなかった.また,一部のGSSで報告されている神経原線維変化も認めなかった。従来指摘されてきた以上に,GSSにおける神経病理所見の多様性が示唆される可能性がある.また。当院で剖検が施行された孤発性CJD症例とも,おなじプリオン病である観点から比較検討中である.
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