2007 Fiscal Year Annual Research Report
モデルマウスを用いたタウオパチー病態機序解明の総合的基盤研究
Project/Area Number |
19500315
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Research Institution | Clinical research Center, Chiba-East National Hospital, National Hospital Organization |
Principal Investigator |
吉山 容正 Clinical research Center, Chiba-East National Hospital, National Hospital Organization, 分子生物学研究部, 発生工学室長 (50292701)
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Keywords | 神経変性 / タウオパチー / モデルマウス |
Research Abstract |
タウ蛋白の異常蓄積を病理的特徴とする疾患群はタウオパチーと呼ばれ、これらの疾患における神経変性はタウ蛋白の異常蓄積が関与していると考えられてきた。しかし、われわれが、本研究以前におこなってきた、おもにモデルマウスを用いた研究から、タウの異常蓄積が生じる以前より神経症状の出現が認められることが分かってきた。また人間においてもタウの異常沈着と神経障害の間にかい離があることが示唆されてきた。このことから、タウオパチーにおける神経障害においては、タウの異常蓄積以前に生じる現象の解明が重要であると考えられた。そこで、タウオパチーの新たなモデルとして開発したP301S変異タウ導入マウスの初期病変の解明を行った。このマウスは非常に強いタウ病理と神経変性を示し、タウオパチーも病理学的変化を再現していると考えられた。その解析の結果、タウの異常沈着、神経変性が生じる以前にシナプスの変性とマイクログリアの活性化が認められた。今変化は病理学的に確認されただけではなく、MRIやPETなどの画像検査でも確認された。また、このモデルマウスに免疫抑制剤を用いることで、マイクログリアの活性化の抑制、さらにタウ病理の抑制が可能であった。このことは今まで考えられていた、タウの沈着による神経変性が神経症状の主体ではなく、また炎症機転が病態に重要な役割を演じていることを示した、画期的な発見であり、新規治療法の開発においても重要な示唆をあたえる。
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Research Products
(2 results)