2008 Fiscal Year Annual Research Report
海馬CA3シナプスにプレコンディショニングで誘導するLTP抑制現象の研究
Project/Area Number |
19500317
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
藤井 聡 Yamagata University, 医学部, 教授 (80173384)
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Keywords | 海馬ニューロン / 長期増強 / 低周波刺激 / シナプス可塑性 / 代謝型グルタミン酸受 / 細胞内脱リン酸化反応 / CA3 / 誘導抑制 |
Research Abstract |
本研究は、海馬CA3領域のMossy fiber-CA3ニューロン間のシナプスにおける「プレコンディショニングによるLTP誘導抑制」のメカニズムを明らかにすることである。当該現象の性質を下記(1)および(2)について検討し、メカニズムを下記(3)により追求した。 (1) プレコンディショニング刺激の周波数特性についての解析 : 異なる周波数のプレコンディショニング刺激をMossy fiberに入力して、LTP誘導抑制が起こるかどうかを検討した。プレコンディショニング60分後に100Hzのテタヌス刺激を入力した場合のLTP誘導抑制効果において、プレコンディショニングは1-2Hzが有効で5-10Hzは無効であった。 (2) プレコンディショニングで賦活される2次情報伝達系およびその効果を薬理学的に検討した。2Hzでのプレコンデショニング時にGroup1代謝型グルタミン酸受容体、IP3受容体およびcalcineurinを介した脱リン酸化を阻害するとLTP誘導抑制効果が抑制された。プレコンディショニングによりIP3受容体が活性化されて細胞内Ca^<2+>ストアより放出されたCa^<2+>が、細胞内脱リン酸化反応を経てLTP誘導抑制効果を発揮していると結論した。さらに、脱リン酸化反応の基質の一つがGroup1代謝型グルタミン酸であり、これがテタヌス刺激によるLTP誘導を阻害する一因子であると結論した。
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