Research Abstract |
(1)グルタチオン(GSH)枯渇による小胞体レドックス異常と細胞死 PC12細胞又はSH-SY5Y細胞をBSO(DL-butionine-SR sulfoximine)で処理して細胞内GSHを枯渇させた所,約6時間で細胞内GSHは対照群の1%程度まで低下し,その後,細胞内酸化ストレスが上昇した(H_2DCFDA(dichlorodihydrofluoroscence diacetate)の蛍光強度変化を用いて測定)。その際,特に,小胞体内蛋白の酸化的修飾(カルボニル化)を顕著に認め,小胞体内分子シャペロンGRP78の発現も経度上昇していた。更に,PCI2細胞においては,BSO投与後24時間以降に細胞死が起こり始め,48時間の段階でviabilityが60%程度まで低下Lた。このBSO由来の細胞死は,小胞体ストレス誘導剤であるツニカマイシン(Tm)により増強し,逆に小胞体ストレス制御物質メトキシフラボンやジベンゾイルタン(DBM)により軽減した。DBMは小胞体に於ける酸化ストレスを軽減させる作用があることから,GSH枯渇により引き起こされる細胞死に小胞体機能異常,特に小胞体に於けるレドックス異常が深く関与している可能性が示唆された。 (2)マウスパーキンソン病モデルにおける,小胞体内レドックス異常 パーキンソン病関連神経毒MPTPをマウスに投与すると,投与直後にGSHの低下及び酸化ストレスの上昇を認め,その後,小胞体ストレス関連蛋白の発現上昇を認めた。このことから,上記培養細胞において認められた小胞体内レドックス異常が,マウスパーキンソン病においても認められる可能性が示唆された。
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