2008 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体内レドックス異常により誘導される神経細胞死とその制御
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19500319
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堀 修 Kanazawa University, 医学系, 准教授 (60303947)
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Keywords | 神経科学 / ストレス / 神経細胞死 |
Research Abstract |
(1) グルタチオン(GSH)枯渇により誘導される小胞体ストレスと細胞死 PC12細胞をBSO(DL-butionine-SR sulfoximine)で処理しGSHを枯渇させると、小胞体内蛋白の酸化的修飾(カルボニル化)の増加と共に小胞体内分子シャペロンGRP78発現上昇を認め、48時間の段階でviabilityが60%程度まで低下した。このBSO由来の細胞死は、小胞体ストレス誘導剤であるツニカマイシン(Tm)により増強し、逆に小胞体ストレス制御物質メトキシフラボン、DBM、そしてカルバゾール誘導体16-14により顕著に軽減した。16-14は小胞体に於けるCa恒常性の維持に貢献していると考えられることから、GSH枯渇により引き起こされる小胞体内レドックス異常及び小胞体ストレスの誘導にCa恒常性の破綻が関与している可能性が示唆された。 (2) マウスパーキンソン病(PD)モデルにおける小胞体ストレス制御化合物の効果 ヒトの病態により近いPDモデル、MPTP慢性投与モデルにおいてもGSH低下及びGRP78発現上昇が認められた事から、本モデルにおける小胞体ストレス制御化合物メトキシフラボンの神経保護効果について検討した。メトキシフラボンを週4回、5週間にわたりマウスに経口投与すると、黒質神経細胞における小胞体ストレス関連蛋白の発現は上昇した。この時、MPTP慢性投与により引き起こされるGSH低下および神経細胞死は優位に抑制された。このことから、小胞体ストレス応答の活性化が新たなPD治療の標的になる可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)