2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経損傷時におけるグリア細胞由来神経栄養因子遺伝子の発現様式の解析
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19500320
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
木内 一壽 Gifu University, 工学部, 教授 (30135339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 憲太郎 岐阜大学, 工学部, 助教 (50332953)
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Keywords | GDNF / リポ多糖(LPS) / マクロファージ / ミクログリア / アストログリア / 5'-RACE / Toll様受容体4 / JNK |
Research Abstract |
マウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞をLPSで4時間刺激後mRNAを回収し5'・RACEを行ったところ、GDNF遺伝子exon4の5'上流に新たに683bpからなる非翻訳領域を同定した。この領域には、従来のexon4の5'端から43bp上流に終止コドンがあることからsingle exon gene(SEG)の一つであることが分かった。また、このexon4の5'上流領域のDNA配列は該当するヒトGDNFのものと相同性が高く、ヒト神経芽細胞株SH-SY5Yから調製した全RNA中にも同様の新規mRNAが存在することが明らかとなった。そこで、マウス脳を7つの部位に分けてRT-PCR法により新規GDNFmRNAの発現量を分析したところ、いずれの部位でも発現が確認され、特に嗅球と線条体で発現量が高かった。初代培養マクロファージとミクログリアでは無刺激下においては新規GDNFmRNAの発現は確認できず、アストログリアでは僅かにその発現が認められた。LPS刺激後はいずれの培養細胞でも有意に上昇した。この新規GDNFmRNAの翻訳領域のKozak配列を持つ発現ベクターを作製し、ヒト胎児腎臓由来細胞株HEK293細胞に一過性に発現させ、翻訳物の性状を調べたところ、無刺激下では細胞内のみに存在が確認され、糖鎖修飾を受けていないことが明らかとなった。次に、LPS刺激によるGDNF遺伝子の発現誘導に係わる細胞内シグナル伝達系について解析したところ、LPSの受容体であるToll様受容体4を介する経路の内、主要なNF-κB経路には非依存的で、少なくともミクログリアではJNKカスケードを介することが明らかとなった。 以上の結果から、LPS刺激による炎症条件下では、GDNF遺伝子は従来の神経栄養因子として分泌されるタンパク質をコードしているmRNAの他に、新規SEGタイプのGDNFmRNAも誘導され、その翻訳物は細胞内において神経栄養因子とは別の役割を演じている可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)