2007 Fiscal Year Annual Research Report
Necdin/MAGEファミリーによる成体脳での神経細胞新生と死の制御機構
Project/Area Number |
19500323
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西村 伊三男 Osaka University, たんぱく質研究所, 助教 (70362621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 和明 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (30094452)
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Keywords | Necdin / MAGE / 神経細胞 / 神経幹細胞 / プラダー・ウィリー症候群 / 成体脳神経細胞新生 |
Research Abstract |
Necdinは神経細胞などの分裂終了細胞に発現して、細胞増殖や死を抑制して最終分化機構に重要な役割を果たしている。Necdinは脳発達異常症プラダー・ウィリー症候群の発症に関与することが推定されている。Necdinはマウス脳内で神経細胞に発現するが、培養下では神経幹細胞にも発現している。げっ歯類や霊長類等の脳内では、成体においても神経幹細胞から神経細胞が産生され続けている。成体マウス海馬歯状回では、顆粒下帯に存在する神経幹細胞が増殖して1日に数千個もの細胞が産生され、顆粒細胞層内に移動して神経細胞に最終分化する。そこで、Necdinノックアウトマウスで成体神経細胞新生に変化がないか解析した。DNA複製の際に取り込まれるbromodeoxyuridine(BrdU)をマウスに腹腔内注射して24時間、7日、28日後に脳を摘出、固定して、免疫組織化学的にBrdU陽性細胞の動態と新生神経細胞に特異的な微小管結合蛋白質doublecortinを発現する細胞を解析した。神経幹細胞増殖の指標となる24時間後のBrdU陽性細胞数、神経細胞分化と細胞死の指標となる7日、28日後のBrdU陽性細胞数、doublecortin免疫陽性神経細胞の形態の変化を検討したが、Necdinノックアウトマウスと野生型の間で明らかな変化は観察されなかった。また、Necdinノックアウトマウス胎仔大脳皮質由来の神経幹細胞を調整して、培養条件下でも同様の解析を行っている。今後、例えば成体脳内の静止期神経幹細胞が増殖を開始する機構にNecdinが関与している可能性などに焦点を絞って解析することが重要である。また、他のMAGE蛋白質が代償的に機能している可能性もあり、NecdinノックアウトとRNA干渉によるMAGEの発現抑制を併用するなど生理機能の相同性を考慮した視点も必要であろう。
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