2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経損傷における分子画像診断法の確立:細胞移植療法後のアロジニアの解析
Project/Area Number |
19500328
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石井 賢 Keio University, 医学部, 助教 (00276289)
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Keywords | in vivo imaging / 分子画像診断 / 痛み / 神経損傷 / シクロオキシゲナーゼ-2 (Cox2) |
Research Abstract |
in vivo imagingの進歩は、生きた動物において非侵襲性かつリアルタイムに遺伝子発現や細胞の追跡を可能にした。発光酵素であるfirefly luciferase (fluc)とその基質であるluciferinの反応による微弱な発光を超高感度CCDカメラにより検出するbioluminescence imaging (BLI)はimaging法の中で最も注目されている手法の1つである。過去にわれわれは脊髄損傷や脳虚血などの中枢神経損傷に対して各種幹細胞を用いた移植療法の有用性をBLIのimaging法を用いて報告してきた(Stroke,2004、 FASEB J,2005)。各種幹細胞の移植効果や動態解析、損傷神経の病態解明のために分子画像診断法の確立は必要不可欠であり、本研究(平成19年度)においてはまず損傷末梢神経における痛みとアロジニアの可視化を実施した。昨年度より本実験に使用しているシクロオキシゲナーゼー2(Cox2)遺伝子プロモーター下にflucを発現するトランスジェニックマウスを用いて、実験を継続した。昨年度はCox2の発現が腸管や脳で常時観察されたことよりバックグラウンドが高くなり、神経損傷部におけるシグナルの検出が困難であった。これを改良すべく、動物の食事を制限し腸管の動きを抑制することにより腸管でのCox2の発現が低下した。この環境下において各種坐骨神経損傷モデルを作成した。神経切断モデルにおいては明らかなCox2の発現が損傷部には観察されなかったが、神経圧挫モデルにおいては損傷部を中心にその末梢へのシグナルが検出された。また、各種プローブを用いた実験系においては、損傷周囲組織に発現するセレクチンをターゲットとして坐骨神経圧挫モデルを用いて蛍光プローブの集積が損傷部に観察された。バックグラウンドの問題はあるものの、今後更なる改良を加えるこにより、痛みや炎症のより鮮明な可視化が実現する可能性が示唆された。
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