2007 Fiscal Year Annual Research Report
ガス分子受容・生成系を標的とした脳微小環境血流制御機構の解明
Project/Area Number |
19500329
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
梶村 眞弓 Keio University, 医学部, 講師 (10327497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 真実 自治医科大学, 医学部, 助教 (60212859)
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Keywords | carbon monoxide / nitric oxide / hydorgen sulfide / cortical microcirculation / cystathionine beta synthase |
Research Abstract |
これまでCOの脳血管に対する作用の検討は動物種や観察する血管のサイズ、部位、in vivoとex vivoの違い、動物の:週齢によりまちまちな知見が得られてきた。「我々は、ラット脳軟膜微小循環床でCO及びNO産生酵素の局在を検討した結果、CO産生酵素とNO産生酵素とが共存していることが判明した。さらに軟膜細動脈はHOの阻害により拡張し、局所のCO灌流により拡張が解除されることを明らかにした。NOのバイオイメージング技術を脳軟膜微小循環で施行し、脳組織におけるCOとNOのクロストークに関しての検証を行った結果、局所のHO-2から生成されるCOがNOによる血管拡張反応の抑制機構として働いていることを明らかにした。培養内皮細胞を用いた加γゴ!τoの系でもNOの生成がCOの投与により抑制されること、またCOとヘム酵素の結合を可逆的に解離できる白色光の照射により、COのNO生成抑制効果が解除できることを示した。さらに脳実質における脳血流一代謝カップリングの制御機構を徹底的に検証するため、脳表微小循環床の解析系に加えて、mouse brain slice preparationを構築した。その結果、COが脳軟膜微小循環同様tonicvasoconstrictorとして作用している証左を得た。これまでのガスシグナリングの概念は、ガス分子は比較的容易に細胞間を拡散により移動しparacrine的に作用すると考えられてきたが、これらの結果は逆にガス産生部位と受容体のanatomical proximityがガスシグナリングの重要な因子であることを強く示唆するものである。また最近NOやCOのみならず、生体内でcysteineの分解にともなって生成される硫化水素(H2S)が神経伝達や血管弛緩に関わる新しい分子として注目されている。そこでsGCやNOS以外のCOの標的分子と成りうる蛋白として脳組織内のH2S産生酵素であるcystathionineβ-synthase(CBS)に着目し、ガス状メディエータを介した情報伝達制御機構の解明を目指した。また、neurovascular metabolic couplingの分子レベルでの調節機構の実態に迫るべく、脳実質の血管作動性制御において中心的な役割を担うastrocyteのprimary cultureの実験系を確立した。
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Research Products
(6 results)