2008 Fiscal Year Annual Research Report
ALS2活性化因子同定によるALS2の生理的機能と運動ニューロン変性機構の解明
Project/Area Number |
19500330
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
秦野 伸二 Tokai University, 医学部, 准教授 (60281375)
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Keywords | 脳神経疾患 / シグナル伝達 / 生体膜輸送 / 蛋白質 / 神経科学 |
Research Abstract |
本研究は、家族性筋萎縮性側索硬化症2型の原因遺伝子遺伝子産物“ALS2"に焦点を当て、ALS2の機能的調節因子を同定するとともに、ALS2が制御する細胞での生理的機能の特定を目指すものである。平成20年度は、以下のような成果が得られた。 1.近年患者において見いだされたALS2のN末端RLD領域における1アミノ酸置換変異を有する2種類の変異ALS2分子(ALS2^<C157Y>、ALS2^<G540E>を用い、生化学的解析ならびに細胞生物学的解析を行なった。その結果、これらのALS2変異体は、野生型と同様にALS2の上流活性化分子であるRac1に結合するとともに、Rab5活性化能を有することが判明した。一方、細胞内でのRac1刺激反応性について解析した結果、ALS2変異体はRac1への反応性ならびにマクロピノソーム・エンドゾーム上への局在能が消失していることが判明した。従って、細胞内においてALS2分子が機能するためには、そのN末端RLD配列が必須であることが明らかとなった。 2.エンドサイトーシスならびに膜動態に果たすALS2の分子機能を明らかにするため、Als2-KOマウス由来の初代培養細胞を用いて、血清刺激依存性のHRP取込み活性の定量的解析を行なった。その結果、ALS2の欠損により培養神経細胞でのHRP取込み活性が有意に低下したが、その活性の大部分は保持されることが判明した。従って、ALS2と重複した分子機能を有する分子が存在すると想定される。そこで、そのような分子群(Rab5GEF: VPS9ドメインを有するファミリー分子)を標的とし、RNA干渉法を用いて各々の遺伝子発現を抑制し、重複した生理的機能を有する分子の同定を試みた。本年度は、これら候補分子群のRNA干渉法の実験条件の確立を完了した。今後、これらの手法を用いて、重複した生理的機能を有する分子を同定する計画である。
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