Research Abstract |
本研究では,細胞-細胞間相互作用に連関した,神経幹細胞からアストロサイトへの分化誘導に対する各種依存性薬物の影響について検討を行った。まず,morphineをマウス新生仔由来初代培養アストロサイトに処置したところ,アストロサイトの構成タンパクであるghal fibrilary acidic protein(GEAP)の免疫活性に変化は認められなかった。一方,methamphetamineについても同様に検討を行った結果,GFAPの免疫活性の増強が認められた。そこで,神経-アストロサイト共培養細胞にmorphineを処置したところ,アストロサイトの形態変化を伴ったGFAP免疫活1生の増強が認められた。次に,morphineをマウス前脳由来神経幹細胞に処置し,morphineの神経幹細胞に対する影響について検討を行った。その結果,神経幹細胞からアストロサイトへの分化誘導促進作用は認められなかった。同様に,methamphetamine,cocaine,ベンゾジアゼピン系受容体作動薬であるmidazolamについても検討を行ったところ,神経幹細胞からアストロサイトへの分化誘導促進作用は認められなかった。そこで次に,morphineを神経アストロサイト共培養細胞に処置し,活性化した神経-アストロサイト共培養細胞の培養上清を神経幹細胞に処置したところ,アストロサイトへの著明な分化誘導促進作用が認められた。 以上,本研究の結果より,morphineによるアストロサイトの活性化は神経細胞を介して誘発されることが明らかとなった。また,morphineは神経細胞-アストロサイト-神経幹細胞の細胞-細胞間相互作用により,神経幹細胞からアストロサイトへの分化誘導を惹起する可能性が示唆された。
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