2007 Fiscal Year Annual Research Report
反発性軸索ガイダンスの仕組み:成長円錐での非対称性駆動力発生機構の解明
Project/Area Number |
19500335
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上口 裕之 The Institute of Physical and Chemical Research, 神経成長機構研究チーム, チームリーダー (10233933)
|
Keywords | 神経回路 / 軸索 / 成長円錐 / ガイダンス / カルシウム / 細胞膜 / エンドサイトーシス / クラスリン |
Research Abstract |
発生段階の軸索突起の先端部(成長円錐)は、細胞外環境に存在するガイダンス因子を認識して伸長方向を転換する。多くのガイダンス因子は細胞質Ca^<2+>シグナルを介して成長円錐の旋回運動を誘起するが、小胞体(細胞内Ca^<2+>ストア)からのCa^<2+>放出を伴わないCa^<2+>シグナルは成長円錐を反対側に旋回させることが知られている(反発性ガイダンス)。本年度は、反発性軸索ガイダンス過程におけるCa^<2+>シグナル下流の駆動機構を探索し、成長円錐の形質膜の非対称性エンドサイトーシスが本機構に関与することを明らかにした。具体的には、(1)クラスリン依存性エンドサイトーシスを阻害する各種薬剤で処理した成長円錐は、誘引性Ca^<2+>シグナルに応じて旋回することはできるが、反発性Ca^<2+>シグナルには反応しなかった。(2)成長円錐での恒常的な形質膜エンドサイトーシスを人為的に非対称化すると、神経突起の伸長方向の転換が引き起こされた。以上の結果は、反発性軸索ガイダンスにおける成長円錐での形質膜エンドサイトーシスの関与を強く示唆した。そこで、成長円錐での形質膜エンドサイトーシスを可視化するため、緑色蛍光蛋白質(GFP)を付加したクラスリンを神経細胞に発現させ、成長円錐でのクラスリン被覆小胞の動態を可視化した。さらに、GFP付加ダイナミンの局在の可視化にも成功した。現在は、クラスリンとダイナミンの両分子の局在・動態を観察することでエンドサイトーシスから細胞内小胞輸送の過程を可視化し、誘引性および反発性Ca^<2+>シグナルにより及ぼされる影響を評価していく。以上の研究により、反発性ガイダンスの駆動機構としての細胞膜動態の重要性を明らかにしていく。
|
Research Products
(9 results)