Co-Investigator(Renkei-kenkyūsha) |
BANDOH Yoshio 旭川医科大学, 医学部, 講師 (20344575)
YOSHIDA Shigetaka 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20230740)
TOMITA Nozomi 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (00375156)
YANO Masafum 東北大学, 電気通信研究所, 所長 (80119635)
KOYAMA Yoshimasa 福島大学, 理工学類, 教授 (80183812)
MATSUYAMA Kiyoji 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (40209664)
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Research Abstract |
近年の高齢化社会において, 精神疾患や変性疾患(認知症を含む)など中枢神経系の疾患の増加が顕著であり, これら「神経疾患の病態理解と克服」は, 神経科学領域における研究領域の重要な目標の一つである. 精神疾患や変性疾患では, 運動機能の障害と自律神経系の機能障害が出現する. 大脳基底核疾患では運動障害や認知機能障害が顕著である一方, 抑うつ症状や睡眠障害, 自律神経障害などの多彩な症状がこれらに先行することも多い. 従って, 大脳基底核は, 運動機能のみならず精神活動や自律神経機能の制御に関与する可能性がある. そこで, 本研究では, ネコおよびラットを用いた神経生理学的研究, 分子生物学的研究, そして, 薬理行動学的研究手法を組み合わせることにより, 「大脳基底核が精神-運動機能と自律神経機能を統合的に制御することにより適切な行動の発現に関与するのか否か」についての検討を試みた. その結果, 1)大脳基底核におけるアセリルコリン作動系の働きが, 運動機能と(情動で表出される)精神機能を統合的に調節する上で重要な役割を担っていること, 2)大脳基底核におけるアセチルコリン作動系の機能異常がパーキンソン病やハンチントン舞踏病における運動機能と情動障害の背景に存在すること, そして, 3)情動行動(強い精神活動と運動機能)と自律神経機能の調節にはオレキシン作動系による大脳基底核出力の制御が関与する可能性があること,などを明らかにした. これらの研究成果は, 基礎神経科学領域における動物の恒常性維持機能の解明のみならず, 神経疾患や精神疾患などの病態理解など臨床神経科学的な側面においても重要な意義を持つと考えられ, 今後の大脳基底核疾患およびその類縁疾患に対する治療指針を考慮する上でも有用な知見を提供すると考えられる.
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