2008 Fiscal Year Annual Research Report
上丘サッケード領域による脳幹サッケードジェネレーターのトリガー神経機構
Project/Area Number |
19500347
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
杉内 友理子 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (30251523)
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Keywords | 上丘 / inhibitory burst neuron / pause neuron / saccade / 固視 |
Research Abstract |
サッケード発現に際して, 固視時に持続発火している omnipause neuron (OPN) が抑制される機構を明らかにするため, ネコのOPNについて、上丘からの入力様式と、投射域への出力様式を解析した。 1) OPN領域に逆行性標識物質 (WGA-HRP) の微量注入を行い, OPNに直接的な抑制を及ぼし得る部位を検索した。その結果、上丘最頭側部、両側PPRF, 対側IBN領域に逆行性標識細胞が見出された。 2) 上記1)の領域に, 順行性標識物質である, dextran biotin (DB) の微量注入を行い, そこからOPN領域への投射を調べた。 (1) 上丘最頭側部 (OPN領域に強く投射し、固視領域と考えられる領域) に微量注入を行い, 単一細胞の軸索を解析し、OPN領域に投射することを明らかにした。 (2) DBを脳幹内のIBN領域に注入し, OPN領域への投射を証明した。 3)OPNの伝達物質はグリシンであると推定されているので, 免疫組織染色でこれを確認した。さらに2)の実験と組み合わせ, 上丘固視領域の出力細胞の終末, IBN領域などからの抑制性細胞の終末が, OPN領域のグリシン陽性細胞に終止することを明らかにした。 4) これまでの我々の研究 (Sugiuchi et al. JNP 2005) で, 上丘頭側部からIBNへは2シナプス性の抑制性入力の存在が明らかになったが、その中継ニューロンの同定には至らなかった。本研究で, 電気生理学的にこの中継ニューロンがOPNであることを証明した。 5) カハル間質核 (INC) 細胞から細胞内記録をとり、OPN領域からの入力様式を解析した。一側MLF切断により、OPN刺激によりINC細胞への抑制の認められる頻度は、切断前と比べて減少したが、完全に消失することはなかった。従って、OPN領域からINCへの投射については、両側性であることが明らかとなった。
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Research Products
(12 results)