2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19500350
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉橋 隆 Osaka University, 生命機能研究科, 教授 (90225251)
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Keywords | Ca / cAMP / 嗅細胞 / ケージド化合物 / ナノチューブ |
Research Abstract |
嗅覚のスタートはナノ嗅繊毛を有する感覚神経細胞で行われる。本研究プロジェクトでは、単離培養細胞、嗅覚刺激、電気生理学とUVレーザー光学的手法を組み合わせ、従来技術的に困難とされてきた微小器官内での分子挙動計測、分子制御を行う点に新規性をおき、嗅覚順応、マスキングに関する研究を行った。嗅覚の特性には、a.匂い識別様式、b.信号増幅の分子機能、c.嗅覚順応の分子機構、d、嗅覚マスキングが挙げられるがその分子機構には未知の点が残される。そこで我々の開発した新規システムを用い、ナノ構造体としての嗅覚システムを観察し、繊毛内部の分子を制御し、分子挙動を実時間レベルモニターして、従来から残されてきた問題を解決し、「香り感覚受容の諸特性」を、物理化学的分子実体と挙動の観点から説明した。嗅細胞の匂い情報変換は、Gタンパク、細胞内cAMPによって仲介され、CNGチャネルの開口によって電気信号発生する。さらにここを通って流入するCaが細胞内側から即座に興奮性のClチャネルを開口することによって、情報を非線型に増幅することが分かっている(Kurahashi & Yau,1993Nature)。また、Caイオンは嗅覚順応を制御する(Kurahashi & Menini,1997Nature)。このように細胞内ではcAMPとCaイオンが嗅覚の情報変換に密接な役割を演じているが、従来の研究においては、ナノメートル領域の細胞空間が実験調査の進展を阻んでいた。本研究では、細胞内cAMP制御、cAMPモニターに加えて、従来からなぞとされた、嗅覚マスキングの分子機構がCNGチャネルの閉鎖によって起こることを世界に先駆けて発表した。また、繊毛内Caに対して実時間制御を行った結果、情報変換過程における繊毛内で応答は空間的に独立であり、少なくとも2マイクロメートル以上の距離間ではcAMPやCaイオンの拡散が起こらないこと、また、従来の仮説を覆し、CNGチャネルとCl(Ca)チャネルが繊毛上に一様に分布していることを明らかにした。
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Research Products
(19 results)