Research Abstract |
H20年度の検討で,我々は通常食飼育下におけるPPARγ Tgウサギの表現型解析として,体重,血漿脂質値,グルコース値,腹腔内脂肪重量,静脈内糖負荷試験(IVGTT)およびインスリン負荷試験(IVITT)を実施し,同腹のnon-Tgウサギとの比較検討を行なったが,いずれもPPARγ Tgウサギとnon-Tgウサギとの間に有意な差は観察されなかった。そこで,H21年度は,PPARγ Tgウサギに10%高脂肪食を負荷し,実験的肥満誘導下におけるヒトPPARγ過剰発現の影響についての検討を進めた。実験的肥満の誘導として,PPARγ Tgウサギと同腹のnon-Tgウサギに10%高脂肪食を16週間負荷した。実験的肥満誘導後に体重,血漿脂質値,グルコース値,腹腔内脂肪重量,IVGTTならびにIVITTを実施したが,いずれもPPARγ Tgウサギとnon-Tgウサギとの間に有意な差は認められなかった。さらに,脂肪組織についても病理組織学的観察を行ったが,脂肪細胞の大きさに差は認められなかった。以上の検討で,PPARγの過剰発現のによる表現型の変化をTgウサギで観察することができなかった。Tgウサギにおける導入遺伝子(ヒトPPARγ)の発現については,各組織でのNorthern blot,また,脂肪組織を用いたreal-time RT-PCRによる検討で,脂肪組織特異的に導入遺伝子が発現していることを確認している。しかし,今後,最終的な結論を得るためには,脂肪組織におけるヒトPPARγの発現蛋白量ならびに発現蛋白機能についてより詳細な追加実験の検討が必要であると考えられる。
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