2008 Fiscal Year Annual Research Report
時期特異的PACAP受容体トランスジェニックマウスにおける脳機能解析
Project/Area Number |
19500368
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
荒田 悟 Showa University, 遺伝子組換え実験室, 准教授 (20159502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼丸 洋 昭和大学, 医学部, 准教授 (30177258)
武富 芳隆 昭和大学, 遺伝子組換え実験室, 助教 (40365804)
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Keywords | PACAP / トランスジェニックマウス / 行動解析 |
Research Abstract |
本年度は、既に作成したPACAP(Pituitary adenylate cyclase activating peptide)特異受容体PAC1を時間空間特異的に発現させるマウスモデルを用いて、PACAPシグナルの発生・発達及び高次脳機能における役割を検討した。昨年度、PAC1を全身性、またはCaMKII-Creを用いて海馬神経細胞に発現させた場合、慨日リズムを維持したまま暗期の活動が亢進することを報告した。この自発行動の亢進は、活動量の低下した老齢マウスにおいても認められ、より明らかな慨日リズムを示した。また、タモキシフェン誘導型で成体後にPAC1を発現させた場合でも自発活動の亢進が認められ、老齢期の脳神経へのPAC1発現がQOL改善に有効であることが示唆された。また、受動回避テスト、水迷路の実験の結果、PAC1の発現が有意に学習や記憶に関与している結果は得られなかったが、電気ショック学習後、再び装置内に入れた時の恐怖心の低下や好奇心の維持などが見られた。今後、恐怖・不安の評価やオペラント実験などにより、詳細に検討したい。 発生・発達期の検討として、呼吸馴化についてPACIの影響を調べた。マウスでは、出生後(PO)の呼吸頻度及び換気量の少ない、やや不規則な呼吸から、2〜3日で呼吸頻度150/分以上、約2ml/分/gの換気量の規則的な呼吸となる。最近、この呼吸馴化はマウスの系統により差があることを見出し、本年度はC57BL/6マウス、BALB/cマウス等を用いて基礎的な知見の収集を行った。PAC1発現は、換気量の増加や呼吸馴化を促進する傾向が認められたが、今後はマウスの遺伝的背景などを含めて、呼吸馴化への影響を詳細に調べたいと思う。 最終的に発生・発達期の神経回路形成等へのPACAPシグナルの役割が、成体の高次機能へ影響を及ぼすかどうかを明らかにしたいと考えている。
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Research Products
(10 results)