2007 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素を起因とするガン発症モデルマウスの構築と解析
Project/Area Number |
19500369
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
石井 直明 Tokai University, 医学部, 教授 (60096196)
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Keywords | ミトコンドリア / 電子伝達系 / 複合体II / SDHC / 活性酸素 / マウス / 腫瘍 / Tet-on / offシステム |
Research Abstract |
ガンの原因として注目されるのが酸化ストレスであり、その主な発生源が細胞小器官ミトコンドリアの電子伝達系であることが知られている。しかし、電子伝達系から酸化ストレスを任意に発生させる手段が存在しないために、外部から過剰な酸化ストレスを負荷するような、正常な生体環境ではありえない条件下で実験がおこなわれている。ミトコンドリア電子伝達系複合体IIのサブユニットであるシトクロームbに変異をもつ線虫、C.elegansやマウスmev-1培養細胞 (NIH 3T3)ではミトコンドリアからの活性酸素発生量の増加、それにともなうアポトーシス(細胞死)を生じることを明らかにした。mev-1培養細胞をヌードマウスに移植すると腫瘍を形成するような形質転換が生じることを確認した。さらに、マウス細胞に導入した同じ変異遺伝子を持つトランスジェニックマウスを構築し、組織から活性酸素が過剰発生していることを確認した。しかし、このマウスは不妊であったため、この変異マウスを改変し、ミトコンドリアからの活性酸素の発生量や発生時期をテトラサイクリン(Tet)により生体外部から任意に制御可能(Tet-on/off)な条件付遺伝子組換えTet-mev-1マウスを作製、解析を行った。 Tet-mev-1マウスは、生体内で活性酸素を産生するパラコートに感受性を示し、臓器・器官によって異なるものの、ミトコンドリアから活性酸素が過剰に産生され、酸化タンパク質の蓄積が認められた。このホモ(Tg/Tg)マウスは胎児期から離乳期にかけて成長の遅れが見られ、多くの組織・器官でアポトーシスが観察された。生後12週目には正常の大きさの身体に回復した。6ケ月齢のヘテロ(Tg/-)マウスにおいては形態病理学的な異常は観察されなかったが、加齢とともに早老的な変化が出現すると予想される。
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