Research Abstract |
本年度は,FDG薬剤の集積について,研究を行った.まず,正常症例におけるSUV(Standardized Uptake Value)の区間推定を行った.これを肺野,心臓,肝臓,腎臓,膀胱,および腹部領域について行った.次に,異常症例に関して,異常集積部のSUVの調査を行った.これらの値を統計的に解析した結果,正常集積と異常集積のSUVには有意な差が認められ,また,その値は臓器や領域ごとに異なることが示された.したがって,FDG薬剤の代謝を全身で把握するためには,臓器/領域ごとの標準化が重要であることが示された. これを踏まえて,正常例(男性:143例,女性:54例)を用いて,男性と女性のSUVモデルを作成した.ここでは,体格合わせ,体表合わせ,臓器合わせの3つの位置合わせ手法を組み合わせて,男性と女性それぞれについて,標準的な大きさの体格へすべての分布を位置合わせした.その結果,臓器/領域ごとに正常なSUVの信頼区間が定まった. さらに,この信整区間を示す平均値と標準偏差から,患者のSUVの偏差を計算し,3次元的に表示するシステムを構築した.その結果,SUVの値をそのまま表示はするよりも,淡い転移性腫瘍の強調表示が可能となった.また,同じ患者あっても撮影時期が異なると代謝の状態が異なるが,この手法のように偏差による画像を用いて経時的な変化を画像化すると,正常部を比較的把握しやすい傾向にあることが確認できた.
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