Research Abstract |
本年度は,正常モデルの構築方法と経時差分像解析に関して,これまでに収集した症例を利用して検討を行った.正常モデルの構築方法は,今後,正常代謝モデルを構築する際に,必要となる症例数とそこから推定される変動幅を明らかにすることを目的とした,これまでに収集し正常モデル用に適切と判断された症例数は,男性:143症例,女性:100症例である.ここから様々な組み合わせで正常モデルを構築した.具体的には,性別ごとに無作為に10例から120例まで無作為に抽出し,モデルを男性142例,女性99例構築した.そして,各モデルにおいて両肺,肝臓,心臓,下腹部,大腿,脊椎領域について,変動幅を算出した.その結果,男性においては,モデル構築に120症例以上の症例数のとき,Zscoreの変動幅が0.1以下を示した.しかし,収集したデータの約85%を用いていることから,組み合わせの種類は十分ではないことが理由で変動幅が小さくなったとも解釈できる.一方,もっとも組み合わせの数が多いモデル構築数60症例程度ではZscoreの変動幅は0.3程度であるため,少なくとも60症例以上がモデル構築には必要であると結論づけることができた.経時差分画像の解析システムについての試作に関しては,核医学専門医による主観的な評価を行った.ここでは,161対の経時変化のある領域について,医師が「適切」「妥当」「不適切」の3段階で主観評価を行った.これらの症例は抗がん剤治療により治療前後でFDG-PET画像が撮像され,その領域について事前に診断が行われている.この評価の結果,122対の変化についてZscore,SUVが「適切」「妥当」と判断された.この他,シンチグラムにおけるモデル構築に関する研究も行った.ここでは,小児全身MIBG画像における神経芽細胞腫診断のための領域分割モデルの構築,心筋MIBG画像における胸部/心筋領域のモデル化に関する研究,99mTcを用いた局所脳血流診断のための血流モデル化に関する研究を行った
|