2007 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨分化、軟骨再生における組織由来間葉幹細胞の特性と多様性に関する研究
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19500403
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
市野瀬 志津子 Tokyo Medical and Dental University, 先端研究支援センター, 助教 (60014156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗田 大 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50190864)
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Keywords | 組織由来間葉幹細胞 / 軟骨分化 / 移植実験 / コラーゲンゲル培養 / 高密度培養 |
Research Abstract |
組織由来間葉幹細胞の特性と多様化に関する研究を以下のごとくに実施した。 ヒト骨髄液、滑膜、軟骨、骨膜、脂肪組織から接着系のコロニー形成細胞を回収した。血清を含むαMEM培地で培養後、ペレット培養では遠心して凝集塊を作製し、コラーゲンゲル培養では市販のコラーゲンゲルと幹細胞を混合し幹細胞-コラーゲンゲル複合体を作製し、軟骨分化培地中で、37℃、21日間培養を行った。得られたペレットおよびコラーゲンゲル複合体は光顕および電顕で観察し、免疫組織化学により検討した。その結果以下のことが、明らかになった。 ペレット培養では、1.培養1日で幹細胞は凝集し、凝集塊を形成した。凝集能は骨髄由来幹細胞で最も高く、滑膜由来、軟骨由来幹細胞の順であった。2.培養7日で凝集塊の表層部は線維芽細胞様細胞層で被われ、凝集塊内部は軟骨細胞様細胞層に分化した。線維芽細胞様細胞層の厚さに由来組織による違いがみられ、滑膜由来幹細胞で最も厚く、軟骨由来幹細胞でわずかであった。3.培養21日で凝集塊内部の軟骨細胞様細胞はcollagen type IIとproteoglycanから成る軟骨マトリックスを生成したが、生成領域および生成量に由来組織による違いが認められた。滑膜由来間葉幹細胞は軟骨マトリックスの生成量も豊富で優れた軟骨分化能を有し、臨床応用が期待される。 コラーゲンゲル培養では、1.培養開始時に幹細胞は球状を呈しコラーゲンゲル中に分散して存在した。培養1日で幹細胞は突起を伸ばし細胞外基質分子を産生した。2.培養3日で幹細胞はさらに突起を伸ばして細胞間の接着が認められた。この時点で由来組織による違いがみられ、骨髄由来幹細胞と滑膜由来幹細胞で細胞間は強く結合したのに対し、軟骨由来幹細胞で弱い傾向であった。3.培養14日および21日で、いずれの幹細胞の場合もproteoglycanに富む基質内に軟骨細胞様細胞が分散する軟骨様組織を形成した。
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