2008 Fiscal Year Annual Research Report
主要抗原領域欠失型HBsAg蛋白質で形成される中空ナノ粒子の表面構造解析
Project/Area Number |
19500405
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
多田 宏子 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 助教 (60271061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妹尾 昌治 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (90243493)
山田 秀徳 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80037613)
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム / バイオナノ粒子 / 蛋白質工学 / ウィルスエンベロープ蛋白質 |
Research Abstract |
ヒトB型肝炎ウィルス(HBV)のエンベロープ蛋白質(HBsAg)により形成される中空ナノ粒子は、細胞特異的薬物送達キャリヤとして開発が進められている。HBsAg蛋白質は3カ所の疎水性領域[膜貫通領域(TM1、TM2)とC末端疎水性領域]および2ヶ所の親水性領域(粒子外部と粒子内部)から構成される。これまでに申請者らはHBsAgの配列欠失実験により、粒子形成に不必要な配列を明らかにしてきた。本研究はこの不必要配列を欠失したHBsAg粒子の表面構造解析を通じた、粒子構造形成メカニズムの解明を目的とする。昨年度は粒子外部とC末端疎水性領域を欠失させたHBsAg変異体粒子の調製を試みたが、発現量が低く精製が困難だった。本年度は、発現量の高い欠失変異体を選別しなおし、その粒子性状を解析した結果、 (1)C末端疎水性領域と、N末端側のTM1と内部親水性領域とを欠失させた変異体が、野生型の約100倍の粒子分泌を示した。TM1と内部親水性領域のみの欠失変異体では全く粒子を分泌しなかった事から、このN末端領域は粒子形成に必須ではないが、C末端疎水性領域と相互作用してその構造を支えたと考えられる。 (2)C末端疎水性領域とTM1と内部親水性領域と粒子外部領域を欠失させた変異体も、野生型の数十倍の分泌を示した。しかしショ糖密度勾配遠心の結果、「HBsAg様粒子」を形成していない事が示された。この欠失体配列中には分泌促進構造が含まれているが、粒子形成には不十分と考えられる。 (3)(1)の欠失変異体粒子をアフィニティー精製したところ、SDS-PAGE上で単一バンドを示したので、この蛋白質のみで粒子形成された事が示された。また、精製粒子の透過型電子顕微鏡観察の結果、野生型粒子と同等のサイズと表面形状を示す事を確認した。 粒子形成に必要な構造を解明した上記知見は、新たなキャリヤ粒子デザインに役立つ。
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Research Products
(2 results)