2007 Fiscal Year Annual Research Report
熱傷瘢痕と巨大色素性母斑の治療に用いる自家培養真皮の開発
Project/Area Number |
19500407
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
黒柳 能光 Kitasato University, 医療衛生学部, 教授 (80170140)
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Keywords | 培養真皮 / 線維芽細胞 / ヒアルロン酸 / コラーゲン / 熱傷瘢痕 / 色素性母斑 |
Research Abstract |
本研究では、自家培養真皮の実用化に向けた基盤を構築することを目的としている。小児の重症熱傷の治療後に生じる瘢痕(引きつり)は成長に伴い機能障害を引き起こす。また、小児の巨大色素性母斑(真皮組織中の色素沈着)は社会への順応において精神的な障害を引き起こす。そこで、これらの皮膚疾患に対する新しい治療法を可能にする新規の自家培養真皮の研究開発を進めている。具体的には、マトリックスの最適な構造設計と最適な生体内分解速度の決定、線維芽細胞の最適播種密度と線維芽細胞が産生する各種細胞成長因子の定量、さらには、予備臨床研究により移植床形成の組織学的な観察を行う。平成19年度に明らかにした項目は下記のとおりである。1)熱傷瘢痕や巨大色素性母斑を切除した全層皮膚欠損に自家培養真皮を適用して、その上にごく薄い自家分層皮膚を移植する。自家培養真皮のマトリックスが移植床と分層皮膚との間でバリアーになると分層皮膚は移植床からの養分の供給が阻害され壊死する。最適な分子間架橋の導入により、マトリックスの構造を保持すると同時に速やかに分子レベルになって創傷治癒を促進し、かつ瘢痕形成を抑制する作用を最大限に発現する設計が重要な鍵となる。このような観点からマトリックス設計の最適条件を解明した。2)自家培養真皮は、線維芽細胞は生着して真皮様組織の一成分になると同時に、種々の細胞成長因子を産生して周辺組織からの細胞浸潤を誘導して増殖を促進する。それゆえ、より高密度でマトリックスに播種することが望ましい。そこで、最適播種密度を解明した。3)自家培養真皮の臨床応用において、一定の規格内で細胞活性を保持していることは安全性の基準となるため重要である。年齢、性別、皮膚採取部位と線維芽細胞のサイトカイン産生量の関連性を調べる。実際には、各患者の皮膚由来線維芽細胞から作成した培養真皮が産生するVEGFの産生量を定量する。患者数6名について関連性を解明した。
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