2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19500420
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂田 泰史 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (00397671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 一博 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任教授(常勤) (90303966)
真野 敏昭 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (90379165)
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Keywords | 超音波 / 心不全 / 拡張機能 |
Research Abstract |
我々は、収縮機能評価における左室駆出率のように、単独で用いられ、感覚的に理解しやすい左室拡張機能評価法確立の必要性を踏まえて、diastolic color kinesis index (CK-DI:拡張早期30%時間以内に拡張した面積を全拡張期時間で変化した面積で除した値)を用いた、拡張機能評価の確立を試みた。本年度は、動物モデルを用いて、心不全への進行過程における拡張機能障害に対する薬物効果を本法を用いて捉えることができるかを検討した。ダール食塩感受性ラットを、正常食塩食群(N群,n=7)、高食塩食群(ARB(-)群,n=14)、高食塩食+血圧を低下させない量のアンジオテンシン受容体阻害薬テルメサルタン0.1mg/kg/日を投与した群(ARB(+)群,n=9)に群分けし、15週齢にて血圧測定、心エコー検査、心臓カテーテル検査を施行した。結果、左室時定数(Tau) 、negative dp/dt/LV pressureにおいて、TauはARB(-)群でN群と比し有意に延長した。そして、降圧効果のない低用量のARBを投与することでも、Tauは改善認めた。この傾向はnegative dp/dt/LV prssureでも同様の傾向を認めた。このtelmisartanの降圧効果に依存しない左室弛緩能改善効果を、左室流入血流速波形(E/A、E波の減衰時間、E波の速度)は捉えられなかったが、CK-DIはN群と比しARB(-)群では有意に低値であり、ARB投与によって、収縮期血圧、心拍数に変化を与えずにCK-DIを有意に改善し、拡張機能改善効果を捉えることが可能であった。以上より、CK-DIはARB(telmisartan)による左室弛緩能の改善を非侵襲的に感知することができた。一方、広く拡張機能評価法として用いられている左室流入血流速波形では、ARBの効果を検出しえなかった。CK法は左室拡張能の薬物療法による改善を鋭敏に感知しうる、有用な非侵襲的拡張機能評価法と考えられた。
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