2008 Fiscal Year Annual Research Report
運動機能回復の神経基盤となる脳領域特異性の検証とリハビリテーション介入の作用機序
Project/Area Number |
19500444
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三谷 章 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (50200043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大畑 光司 京都大学, 医学研究科, 講師 (30300320)
松林 潤 京都大学, 医学研究科, 助教 (00452269)
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Keywords | 脳磁図 / 20-Hz脳磁場 / リハビリテーション / 運動イメージ / ミラー治療 |
Research Abstract |
脳卒中などの脳血管障害によって生じる運動機能障害からの回復促進のために用いられるリハビリテーション介入の作用機序を脳磁図などの非侵襲性脳機能イメージング法を用いて明らかにすることが本研究の目的である。(1)運動イメージ:脳卒中後の急性期においては、患者の多くは歩行運動などの訓練を未だできない。しかしながら、急性期においても歩行運動のイメージトレーニングは可能である。本研究では運動イメージの効果を明らかにするために、下肢運動イメージ中の脳活動を20 Hz脳磁場活動をもとに検索した。その結果、下肢運動イメージ想起中には、実際に下肢運動を発現する際に活性化する大脳皮質運動野が活性化していることが観察された。このことから、実際の運動が伴わない運動イメージだけでも運動野の機能を回復させる効果があることが示唆された。(2)ミラー治療:脳卒中後に片麻痺を生じる患者に対して、最近、麻痺した上肢のうえに鏡を置き、その鏡に反対側の健常上肢の鏡像が映るようにして健常上肢の運動を行い、あたかも麻痺上肢が動いているかのような像を患者に見せると、麻痺側の運動機能の回復が促進することが報告されている(ミラー治療)。本研究ではこの鏡像の効果を20 Hz脳磁場活動をもとに検索した。その結果、左手の鏡像は、右手を直接見ているときと同等に右手を支配する左大脳皮質感覚運動野の活動を強く賦活したが、一方、右手の鏡像は、左手を見ているときと同様に左大脳皮質感覚運動野の活動をあまり強く賦活しなかった。このことから、利き手である右手が麻痺した患者に鏡を使って健常である左手の運動を右手の運動のように見せることによって、右手の運動や感覚を司る左大脳皮質感覚運動野を活性化させ得ることが示唆された。これらの結果は、運動機能障害のための脳機能リハビリテーション療法の作用機序を示すものと考えられる。
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Research Products
(3 results)