2008 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の運動習慣による脳内シナプス増強に関する実験動物学的研究
Project/Area Number |
19500446
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
前島 洋 Hiroshima University, 大学院・保健学研究科, 講師 (60314746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 英司 広島大学, 大学院・医歯薬総合研究科, 准教授 (80304418)
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Keywords | 運動 / シナプス / NMDA受容体 / 神経栄養因子 / AMPA受容体 / ラット / リン酸化 / 可塑性 |
Research Abstract |
運動が脳内シナプス受容体の機能修飾に与える影響を検討するため、成体ラットを対象に10日間および4週間の1日50分間の中等度トレッドミル走行運動を課した。介入後、大脳皮質運動野および小脳皮質を採取し、定量的PCR法に基づくmRNAの発現の定量、ウェスタンブロッティング法に基づく蛋白量とその修飾についてコントロール群と比較した。運動野においては、10日間介入により主要なシナプス受容体であるNMDA受容体NR2Bサブユニット、AMPA受容体GluR1サブユニット、更にPSD-95のmRNA発現量の減少が認められたが、4週間介入ではこれらのmRNA発現量の低下は生じなかった。一方、10日間介入ではNR2Bサブユニットの長期増強に関与する特異的リン酸化が進んでいた。このためNMDA受容体リン酸化による機能修飾によるチャンネル効率の向上に伴い、より少ない受容体産生レベルでの効率的代謝の獲得が示唆された。 小脳皮質においては、10日間介入により主要なシナプス受容体であるAMPA受容体GluR2サブユニットのmRNAの発現量の低下が生じ、その後、4週間介入でも同様のGluR2 mRNA発現量の低下が認められた。また、10日間介入により長期抑制に関与するGluR2サブユニットの特異的リン酸化が促進したが、4週間介入では同様のリン酸化促進は認められなかった。 以上の所見から、脳内シナプス受容体の産生および機能修飾が運動介入の期間に依存的に調整されていることが明らかとなり、学習の素子となる長期増強、長期抑制の機構に対する可塑的効果が示唆された。
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Research Products
(1 results)