2009 Fiscal Year Annual Research Report
乳児に適用される補聴器の機能の選択・評価・推薦方略
Project/Area Number |
19500447
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
立入 哉 Ehime University, 教育学部, 教授 (90294777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富澤 晃文 目白大学, 保健医療学部, 講師 (80433671)
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Keywords | 聴覚障害 / 補聴器 / 実耳 / 雑音抑制機能 / 外耳道内音圧 / デジタル補聴器 / 乳児 / インサートイヤホン |
Research Abstract |
乳児と成人では外耳道容積が大きく異なるため、乳児へのデジタル補聴器の特性処方においては実耳の音響特性を組み入れることが重要となる。新たな手法としてインサートイヤホンによる実耳測定法を導入し、さらに0歳児の補聴器装用による聴覚的発達を質問紙によって追跡した。 (1) デジタル補聴器による外耳道内増幅特性の評価法として、実耳-カプラ差(RECD : real-ear-to-coupler difference)を用いたカプラ利得換算により、実耳利得(REAG : real-ear aided gain)を良好に推定できることを実験的に検証した。RECDの実測により、4000Hzまではカプラ利得からREAGを推定できることを明らかにした。 (2) インサートイヤホンによるRECD測定法を0歳児に試み、乳児に適用可能であることを明らかにした。 (3) 補聴器を装用した乳児の聴覚的発達を追跡的に評価することを目的に「0歳からの聴覚発達質問紙;日本語版EASD (early auditory skill development for special populations)質問紙」を作成した。本質問紙は、補聴器装用児を含めた乳児の聴覚的発達を経時的に評価する上で有用であった。 また,実生活場面での補聴器の雑音抑制機能の評価を行った。乳児に適用されるデジタル補聴器の特に雑音抑制機能について,その使用の可否が研究者によって分かれている。これらの議論では, 雑音抑制機能によって,生活環境音をも抑制し,聴覚障害乳児の聴覚学習を妨げる可能性が考えられている。生活環境音が雑音抑制機能によって,抑制されるレベルと,さらに特に音声入力時と音声無入力時の違いによる抑制効果の比較を行った。これらの結果,従来の純音信号ではなく,実音声などの複合音を入力信号とした出力特性の測定・評価も重要性が示唆された。掃除機,道路交通騒音,レストラン,自動車内環境に8本のマイクを設置し,生活環境音を録音,これを防音室内の8つのスピーカより再生し,補聴器の雑音抑制機能の評価を行った。この結果,生活環境音によって,その効果の違いが見られたが,明瞭度に有意差を見ることができた。本研究により,複合音信号によりデジタル補聴器のカプラ内出力特性を測定し、乳児の補聴器の機能の選択に有用な示唆が得られた。
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Research Products
(5 results)