2008 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症を有する人のセルフスティグマの実態及びその関連要因の分析
Project/Area Number |
19500448
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田中 悟郎 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00253691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 保之 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50108304)
稲富 宏之 兵庫医療大学, リハビリテーション学部, 准教授 (10295107)
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Keywords | 統合失調症 / セルフスティグマ |
Research Abstract |
精神障害を持つ人びと自身が抱いているスティグマ(セルフスティグマ)は、回復や生活の質(Quality of Life: QOL)などに大きな影響を及ぼしている。従って、セルフスティグマを克服するプログラムの開発は当事者の自殺を防止するとともに地域生活を支援していく上できわめて重要な課題となっている。このセルフスティグマの克服には、当事者の社会的自立を促す面や当事者のエンパワメントの面で有効であるピアサポート・セルフヘルプの体験が重要だと考えられている。そこでわれわれは、SA(Schizophrenics Anonymous)ミーティングを参考にセルフヘルプグループ育成への支援を試みている。今年度も昨年度と同様に継続的に支援を行った。その結果、このグループは援助される側から援助する側への役割転換がもっとも自然に果たせる場であるため、当事者の疾患や問題についての深い理解が促進され、また自分の苦労や失敗の体験を他人の回復に役立てる中で自尊感情が回復していくことがみられた。これは今まで失敗や苦労の連続であったであろう参加者にとって、他では体験することができない貴重な経験であり、このグループが何かを与えられる場であるだけでなく、何かを生み出す場だということを示していた。言葉が新たな現実を生み出し、その現実がまた新しい言葉を創造していたと考えられた。つまりグループの中で語るということはグループの参加者にとって新しい現実を生み出すことと同義なのである。この作業を繰り返していくことで以前よりも生きやすくなることが期待できる。
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