2007 Fiscal Year Annual Research Report
視空間認知障害の早期スクリーニング法の確立とリハビリテーションへの応用
Project/Area Number |
19500457
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
後藤 純信 International University of Health and Welfare, 保健医療学部, 准教授 (30336028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 貴男 九州大学, 大学院・医学研究院, 特任助教 (70404069)
中山 広宣 国際医療福祉大学, 保険医療学部, 教授 (50320487)
杉 剛直 佐賀大学, 海洋エネルギー研究センター, 准教授 (00274580)
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Keywords | 視空間認知障害 / 運動視 / 事象関連電位 / 放射状運動(optic flow) / 視覚情報処理 / 探索眼球運動 / リハビリテーション / 軽度認知障害 |
Research Abstract |
目的:視空間認知(運動認知)障害を詳細に検討できる放射状optic flow(OF、自己運動知覚に関与)刺激を用いて事象関連電位(ERP)や探索眼球運動を記録し、その波形や変化を解析することで、非侵襲的かつ簡便に潜在的な視空間認知(運動認知)障害を見出すスクリーニングシステムの構築と、効果的なリハビリテーションを提案する。本年度は、ランダム運動(RM)、水平方向(HO)、放射状OFの脳内処理機構の違いを、健常若年成人、健常老年者(平均62歳)と軽度認知障害(MCI)群で検討した。方法:対象は健常若年成人、健常老年者(平均62歳)と軽度認知障害(MCI)群、各10名。刺激は、黒色背景に400個の白色ドット(視角0.1度)をスクリーン画面(視角50×50度、平均輝度を20cd/m^2)に呈示し、任意の割合でドットを放射状(噴き出しか吸い込み)もしくは水平(左か右)に動かし、各群での心理物理学的認知閾値の違いとERPの変化を検討した。結果:健常群では、HO刺激よりOF刺激で閾値が高く、老年者群で著明であった。MCI群ではHOとOFいずれの刺激でも老年者群より有意に閾値が上昇していた。ERPでは、Baselineを静止ドットとした場合、OF刺激で老年者群でN170とP200の振幅低下と潜時の軽度延長、MCI群では老年者群に比べ有意なN170やP200の振幅低下と潜時延長を認めた。Baselineがランダム運動のときは、両群に大きな違いを認めなかった。考察:(1)ERPでP200がOF認知機能の指標と成り得ること、(2)HOよりもOFでは複雑な脳内処理が働くこと、(3)加齢でOFの処理が障害される可能性があり、MCIではその傾向がより強くなることがわかった。従って、OF刺激を用いた閾値測定やOF刺激のERPを後頭頭頂部から記録することで、早期からの視空間認知障害の診断・鑑別プログラムの構築が可能であることがわかった。
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