2008 Fiscal Year Annual Research Report
視空間認知障害の早期スクリーニング法の確立とリハビリテーションへの応用
Project/Area Number |
19500457
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
後藤 純信 International University of Health and Welfare, 保健医療学部, 准教授 (30336028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 広宣 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (50320487)
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Keywords | 視空間認知障害 / 運動視 / 事象関連電位 / 放射状運動(optic flow) / 視覚情報処理 / 探索眼球運動 / リハビリテーション / 軽度認知障害 |
Research Abstract |
目的:視空間認知(運動認知)障害を詳細に検討できる放射状optic flow(OF,自己運動知覚に関与)刺激を用いて事象関連電位(ERP)や探索眼球運動を記録し、その波形変化を解析することで、非侵襲的かつ簡便に潜在的な視空間認知(運動認知)障害を見出すスクリーニングシステムの構築と、効果的なリハビリテーションを提案する。本年度は、平成19年度で得られた心理物理学的閾値結果とERPの結果を基に、健常老年者群と軽度認知障害(MCI)疾患群で、ERPと探索眼球運動の同時記録を行ない、各被検者群間での各運動刺激に対する特徴的な反応性の違いをモデル化して視空間認知障害スクリーニングソフトを作成することを目的とした。結果:ERPでは、Baselineを静止ドットとした場合、OF刺激では老年者群でNl70とP200の振幅低下と潜時の軽度延長、MCI群では老年者群に比べ有意なN170やP200の振幅低下と潜時延長を認めた。Baselineがランダム運動のときは、両群に大きな違いを認めなかった。探索眼球運動では、MCI群で視点が定まらず、周辺部と中心部を交互に検索する傾向が認められた。考察:(1)ERPでP200がOF認知機能の指標と成り得ること、(2)HOよりもOFでは複雑な脳内処理が働くこと、(3)加齢でOFの処理が障害される可能性があり、MCIではその傾向がより強くなること、その誘因として視点が定まらない注意障害が関与する可能性が示唆された。従って、OF刺激を用いた閾値測定やOF刺激のERPを後頭頭頂部から記録することで、早期からの視空間認知障害の診断・鑑別プログラムの構築が可能であることがわかった。また、数理モデル化は、症例毎のばらつきが多く現在症例数を増やしている。来年度以降は、今年度より開始した、自己運動感を生じる三次元画像による視覚的なリハビリテーション効果の有無を、ERPや眼球運動の変化と神経学的症候の変化で解析していく。
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