2007 Fiscal Year Annual Research Report
fMRIとトラクトグラフィーを用いた脳卒中後の大脳運動ネットワーク再構築の研究
Project/Area Number |
19500458
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
加藤 宏之 International University of Health and Welfare, 大学病院, 教授 (60224531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 律夫 国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (50254917)
樋渡 正夫 国際医療福祉大学, 大学院, 教授 (20189898)
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Keywords | 脳神経疾患 / リハビリテーション / 脳卒中 / 脳機能画像診断 / 片麻痺 / fMRI |
Research Abstract |
脳卒中後の運動機能の回復は大脳の運動ネットワークの機能代償や再構築、あるいは、学習による新しい神経ネットワークの形成(可塑性)によってもたらされると考えられている。このような脳卒中後の脳に起こる生理学的、解剖学的な動的変化を計測し画像化する方法としてfunctional MRI(fMRI)が有用である。また、MRIの拡散テンソル・トラクトグラフィー(DTT)により、運動ネットワークの主たる構成員である錐体路(皮質脊髄路)を描出することができる。われわれは、脳卒中後の運動機能回復の機序を解明するために、この過程をfMRIとDTTの同時計測を行って追跡するために本研究を計画した。本年度に得られた結果より、片麻痺の回復と大脳皮質運動ネットワークの再構築の関係を次のようなスキームで考えている。(1)錐体路損傷が軽度な場合には、本来の運動ネットワークである対側一次感覚運動野、補足運動野、同側小脳の機能障害が回復することにより片麻痺が回復する。(2)錐体路損傷が中等度で、本来の運動ネットワークが十分に回復できない場合には、関連する運動領域である同側一次運動野、運動前野、補足運動野や一次感覚運動野の周辺領域などの機能が動員され代償することにより運動機能が回復する。(3)錐体路損傷が高度の場合には、関連運動領域を可能な限り動員し、運動ネットワークを再構築することにより運動機能を回復させる。これらの運動機能の再構築には、非交叉性錐体路の代償、近隣関連領域の動員、新しい神経回路の獲得(学習)などによる神経系の可塑性を誘導していると考えられる。今後、さらにこの作業仮説を検定するため、来年度以降、症例数を増やしてさらに検討するつもりである。
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Research Products
(7 results)