2007 Fiscal Year Annual Research Report
小脳変性症に対するリハビリテーション効果の分子機構解明
Project/Area Number |
19500464
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
久寳 真一 Kansai Medical University, 医学部, 准教授 (60195394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨夜 勇作 四條畷学園大学, リハビリテーション学部, 講師 (50353008)
松崎 竜一 関西医科大学, 医学部, 助教 (70239002)
中尾 和子 関西医科大学, 医学部, 助教 (60351540)
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Keywords | 小脳 / BDNF / 可塑性 / 運動失調 |
Research Abstract |
小脳変性症の運動失調に対する効果的なリハビリテーション方法を検索する目的で、動物モデルとして、小脳変性(pcd)マウスと小脳半側切除マウスを用いた。小脳変性(pcd)マウスでは、視床変性に伴う大脳皮質の分子の変化と脳波上の変化について研究した。大脳皮質ではNMDA受容体の発現が増加しており、これが異常な速波の発生に関与していることを見出し、第37回臨床神経生理学会学術集会シンポジウムで発表し、一部は論文で公表した(Kyuhou,S.,Gemba,H,.Biochem Biophys Res Commun,356:187-192,2007)。小脳半側切除マウスでは、運動機能の変化と脳内の分子変化を探索した。小脳中位核と歯状核を含む小脳半側切除を吸引により行った。運動面では小脳半側切除により、破壊と同側に著名な運動失調が生じることが、グリッド検査により判明した。この運動失調は小脳半側切除後1週間でかなり回復してくることが観察された。小脳の出力は、反対側の大脳皮質運動野に投射し、同側の手足の運動の制御に関与していることから、運動機能回復期における大脳皮質運動野の遺伝子発現を調べた。小脳半側切除後3日から7日にかけて破壊と反対側の運動野において、脳由来神経栄養因子(BDNF)の遺伝子発現の増加を認めた。BDNFの受容体であるTrkBの遺伝子発現も上昇していた。たん白質レベルでの、BDNFの増加もWestern Blot法により確認した。大脳皮質運動野におけるBDNFとTrkBの発現増加が運動失調の回復へ寄与しているのが事実とすると、BDNFの発現促進が小脳変性症の治療につながる可能性があるので、その関連性について検索をすすめている。
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